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両国に利益 不滅の協力関係 - ルース大使の寄稿

*以下は、2010年1月19日付朝日新聞朝刊17面オピニオンのページ「 安保条約50周年 日米同盟の将来は」に掲載されたルース大使の寄稿を、同新聞社の許可を得て転載したものです。

2010年1月19日

 米日両国政府は今日、日米安全保障条約の署名50周年をともに祝う。アイゼンハワー大統領が、「平等と相互理解」に基づく「不滅のパートナーシップ」と言及した2国間関係が始まった記念すべき日だ。

 条約の正式名称は、「相互協力および安全保障条約」となっているが、その中身は伝統的な意味での「相互(双務的)」ではない。北大西洋条約のように、一国に対する攻撃をすべての加盟国に対する攻撃とみなすということはないからだ。しかし、日米安保条約は、それに劣らぬ重要な意味で「双務的」になっている。米国は、日本の防衛を支援することに同意し、他方日本は米国に対し日本国内の基地の使用を許す。それらの基地は、日本の安全だけでなく、アジア太平洋地域の平和と安全の維持にも寄与する。

 この条約が、この地域で決定的に重要な役割を果たしてきたことに疑いをさしはさむ余地はない。オバマ大統領が昨年11月の日本訪問の際、強調したように、条約が署名されてから半世紀の間、「この同盟関係は日米の安全保障と繁栄のための基盤として持続されてきた。この関係は、日米が世界の2大経済大国になるのを助け、日本は北米地域を除いて米国の世界第2位の貿易相手国となった。日本が世界の舞台でより大きな役割を果たすようになるにつれ、同盟は進化し世界の安定に重要な貢献を果たしてきた」。

この条約はもともと、冷戦の脅威に対応するために作られた。今の世界が1960年当時と全く異なる状況にあることは明らかだ。しかし条約の重要性は、署名された50年前と比べて、いささかも損なわれていない。今、日米両国が直面している問題は明らかだ。北朝鮮の弾道ミサイルと核開発計画、透明性に欠ける中国の軍事増強がある。さらに大量破壊兵器の拡散や、死活的に重要なシーレーンでの海賊行為は、日米両国が引き続き取り組まなければならない問題の実例だ。しかし、この地域やそれ以外の世界各地には、まだ予見できていない他の脅威があることも明らかだ。両国は、同盟の力に依拠するとともに、協調して行動することで、それぞれが個別に対応するよりも、より効果的に地域の課題に対応することができる。

 日米両国の国益は、同盟によって今後も効果的に実現される。日本は米軍による支援により、国土防衛の点で利益を得ている。また防衛予算は国内総生産(GDP)比で地域の他のどの国よりもはるかに少ない水準で済んでいる。米軍が日本国内の基地を利用し、極めて重要なアジア太平洋地域の平和と安定を維持する抑止力を提供することで、米国と日本の国益はともに達成されている。日本が同盟の保証する安定に支えられて、成長を続け繁栄することは、両国の広範な経済関係を考えれば米国の国益にも資する。この同盟が半世紀にわたって持続できたのは、まさに双方が同盟から利益を得てきたからにほかならない。

 オバマ大統領が東京で語ったように「この同盟関係は、過ぎ去った時代の歴史的文書ではなく、両国が共有する安全保障にとって根本的な、相互に対する不変のコミットメントだ」。世界は一刻たりとも立ち止まることはない。日米関係も他の多くの2国間関係と同様、進化しなければならず、不断の努力を必要とする。同盟の活力と強さを引き続き維持するため、両国は同盟の能力強化の方策を模索し続けなければならない。たとえば、情報共有やミサイル防衛をめぐる協力の拡大だ。さらに、両国の安全保障の枠組みと兵力構成が、変化を続ける課題に確実に対応できるようにしなければならない。しかし、その一方で、基地を抱える地元、特に沖縄に対する負担をできるだけ小さくする必要がある。両国政府はそうした二つの目標を念頭において、(06年5月に)「再編実施のための日米のロードマップ」を作り上げた。

 米国の駐日大使として、私の主要な責務のひとつは、日本との同盟関係を強化し、21世紀の変化を続ける安全保障環境に確実に対応できるようにすることだ。この同盟に対する両国の不変のコミットメントは、この同盟を次の50年にわたって一層不可欠なものとするために決定的に必要となる。両国は、対等なパートナーとして活動しつつ、同盟を強固で新鮮、かつ前向きなものとして維持しなければならない。そうすることで初めて、この同盟はそれぞれの国民を守り、両国の死活的な国益に資することのできる不滅のパートナーシップとして生き続けることができるのだ。