日本の状況についてのオバマ大統領の発言
*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。
ホワイトハウス・ローズガーデン
2011年3月17日
オバマ大統領 この数日間、米国民は日本での出来事に関して心を痛めるとともに、深く心配してきました。
世界で最も親しい友であり同盟国のひとつである国で、地震と津波により想像を絶する数の方々が犠牲となり、甚大な被害が出ているのを、私たちは目の当たりにしてきました。さらにこの強大な自然災害が、日本国民に平和なエネルギーを提供する原子炉に影響を及ぼし、一層大きな惨事を引き起こすのを見てきました。
本日私は、私たちが承知している日本の状況、米国市民ならびに米国の原子力の安全の支援のために私たちが取っている措置、そして日本国民が被害を食い止め、立ち直り、再建するために私たちが提供している支援について、米国民に最新の情報をお伝えしたいと考えました。
まず最初に、状況を厳重に監視し、危険な状況に陥っている可能性のある米国市民を保護するために、私たちは総力を結集しています。日本の緊急時対応要員が勇敢な活動を継続しているにもかかわらず、福島第一原子力発電所の原子炉が被害を受けたことでその周辺にいる人々が多大な危険にさらされていることが分かっています。だからこそ私たちは昨日、原子力発電所から半径50マイル(80キロメートル)以内にいる米国市民に避難を勧告しました。この決定は慎重な科学的な評価と、米国内でも、世界のいかなる場所でも、米国市民の安全を守る際に適用されるガイドラインに基づいて下されました。
この半径50マイルの範囲外では、現在のところ避難が必要なほどの危険はありません。しかし私たちには、慎重な予防措置を講じ、状況が悪化した場合に被ばくの危険にさらされる可能性がある米国民に情報を提供する責任があります。このため私は昨夜、日本の北東部で働いている米国政府職員の家族の自主的退去を許可しました。
日本にいる全ての米国市民は引き続き状況を注意深く見守り、日米両国政府の指示に従う必要があります。援助が必要な米国市民は、(日本国内の)米国大使館と領事館が引き続き開館し業務を継続していますから、そちらに連絡してください。
第二に、多くの米国民が米国に危険が及ぶ可能性についても心配していることを、私は知っています。ですからはっきり申し上げます。西海岸であれ、ハワイ州やアラスカ州であれ、あるいは太平洋の米国の海外領土であれ、人体に悪影響を及ぼすレベルの放射線が米国に到達するとは予想していません。もう一度繰り返します。人体に悪影響を及ぼすレベルの放射線が西海岸、ハワイ州、アラスカ州、あるいは太平洋の米国の海外領土に到達するとは予想していません。これが米国の原子力規制委員会など多くの専門家の判断です。
さらに、疾病対策センターや公衆衛生の専門家は、米国内の人々が最新情報の入手以上の予防措置を講じることは勧告していません。私たちは今後も米国民に新しい情報を提供し続けます。なぜなら私が大統領として知っていることを皆さんも知る必要があると考えるからです。
ここ米国において、原子力は風力、太陽エネルギー、天然ガス、精炭などの再生可能エネルギーとともに米国の未来のエネルギーの重要な要素のひとつになっています。米国の原子力発電所は徹底的な調査を受け、極度の緊急事態がいくつ重なっても安全だと宣言されています。しかし日本で発生したような危機を見る時に、私たちにはこの出来事から教訓を学び、その教訓を米国民の安全と治安を確保するために活用する責任があります。
そこで私は、日本で起きた自然災害を踏まえ、米国内の原子力発電所の安全について包括的な見直しを実施するよう原子力規制委員会に要請しました。
最後に、この途方もない困難な時に、米国の同盟国である日本を支援するために私たちは積極的に活動しています。捜索救援チームが日本の現場で救助活動を支援しています。災害援助・対応チームが地震と津波の被害に対処すべく活動しています。何十年にもわたり日本の安全保障を支援してきた米軍は、24時間体制で活動しています。
私たちは今日までに、復旧活動支援のために何度も空輸任務をこなし、日本国民に何千ポンドもの食料と水を届けてきました。また日本の原子炉が受けた損傷を食い止めるために、米国有数の専門家も派遣しています。現場で対応する勇敢な人々が米国のチームワークと支援の恩恵を受けられるように、私たちは彼らと専門知識、機材、技術を共有しています。
米国民もまた手を差し伸べています。今も続く救援活動を支援するために多くの人々からたくさんの寄付が寄せられました。赤十字社は、住む場所を失った人々の当面のニーズに応えるために支援しています。援助の手を差し伸べたい方は、usaid.govで詳細をご覧になってください。usaid.govです。このサイトを見れば、どうすれば援助できるかが分かります。
昨夜菅首相に申し上げ、今日ワシントンの日本大使館で再度明言したように、日本国民はこの大きな試練と悲しみの時に独りで立ち向かっているのではありません。日本が立ち直ろうとする時、米国は太平洋を越えて支援の手を差し伸べます。私たちには半世紀以上前に築かれ、共通の利害と民主主義的な価値観により強化されてきた同盟関係があります。日米両国民は家族の絆、文化の絆、商業の絆を共有しています。米軍は日本の国土を守る役割を果たしてきましたし、米国市民は日本の都市や町々で機会や友情を見出してきました。
何よりも私は、日本国民の強さと精神力により日本は復興し再建されると確信しています。ここ数日間、日本国民は自宅をお互いのために開放しあってきました。乏しい食料や水を分けあってきました。避難所を手配し、無料で医療を提供し、一番弱い立場にある市民を世話してきました。ある男性が簡潔な言葉でこう言いました。「これこそ日本人魂だ。困難に見舞われた時、私たちは助け合わなければならない」
このような困難な時でも未来への希望は残っています。津波に押しつぶされたある小さな町で、両親の腕から津波にさらわれ何日間もがれきの中に閉じ込められていた生後4カ月の赤ん坊が、救急隊員により救出されました。赤ん坊がどうやって水とがれきの中で生き延びたのか、はっきりと言える人は誰もいません。人の身の上には不思議なことが起きるものです。
景気回復と世界情勢の激変のさなか、このような災害は私たちが共有している人間性を思い起こさせてくれます。福島で自らの命の危険を顧みず働いている人々にその人間性を見ることができます。70の国々から日本へ提供される援助を通して、私たちはその人間性を示しています。そして私たちは、がれきの中から奇跡的に救出された子どもの泣き声の中にもその人間性を聞き取ることができます。
今後、米国市民の安全と米国のエネルギー源の安全保障を確保するために、私たちは引き続き全力を尽くします。私たちは、この危機を食い止め、この困難から立ち上がり、その偉大な国を再建する日本国民を支持していきます。
ありがとうございました。