福島第1原子力発電所での日米協力について

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

2011年4月14日

 福島第1原子力発電所の事故に対し多くの米国政府機関が一体化した対応を取る中、米国と日本は緊密に協力しながら現在も続く危機的状況に対応する日本の取り組みを支援している。こうした活動についてジョン・ルース駐日米国大使は「日米双方の関係者の不断の努力は、日米同盟の揺るぎない強さを示すもうひとつの良い例である」と述べた。

  • 米国は地震と津波からの復興・再建を果たそうとする日本国民を支援する。オバマ大統領が述べたように「私たちはこの危機を食い止め、この困難から立ち上がり、その偉大な国を再建する日本国民を支持していく」。友好国・同盟国である日本の支援に向けた米国政府の一丸となった対応は、さまざまな分野の専門知識の提供を可能にしている。
  • 3月11日の直後、日本政府による福島第1原発の被害の評価と対応を支援するために、原子力規制委員会(NRC)、エネルギー省、保健福祉省の専門家が来日した。日本の原子力規制機関である原子力安全・保安院(NISA)と長年にわたり業務上の関係を維持してきたNRCは、福島第1原発の原子炉の状況や関連する懸念事項について、NISAと毎日意見交換する場を設けた。
  • 原子炉の安全性、保護対策および国際関係の専門家で構成されるNRCのチームが、3月13日から東京に常駐している。このチームはワシントンDC近郊のNRC本部オペレーションセンターに勤務する専門家から支援を受けている。これまで延べ約30人の専門家が東京に派遣され、NISAの専門家との協力および日本原子力研究開発機構、東京電力、経済産業省、文部科学省、外務省の担当者との協議を続けてきた。
  • 米国は日本政府からの要請を受け、以下のような技術援助や機器を提供している。

    • 福島第1原発の敷地外の地表に沈着した放射性物質を解析・評価するための特殊な分析能力を備え地上および空中で放射線量を測定するエネルギー省のチームの派遣。米空軍のヘリコプター2機および航空機1機の毎日の飛行による地表汚染状況の記録と対応・復旧活動の支援。今日までの飛行時間は320時間を超え、日本の省庁が事故の影響をより正確に把握する助けとなるよう、さまざまな省庁と測定データを共有している。このデータはエネルギー省のウェブサイト(www.energy.gov)にも掲載している。
    • 日米の共同モニタリングでは、原発事故の影響を受けた地域内における測定区域を最大にするための優先測定地点を日本の原子力安全委員会と共に決定している。日米の航空機を使用する共同空中モニタリングにより、両国とも、より正確なデータの収集が可能になる。
    • 日米が共同で運用する固定測定局と派遣チームによる(放射線量の)計測回数はこれまでに10万回を超える。
    • オーストラリア空軍および在日米軍の支援を得て高圧ポンプ1基を日本に移送。米海軍横須賀基地から輸送されたはしけ船2隻分の真水(総量50万ガロン)を使い、福島第1原発の原子炉内の燃料棒を冷却するためポンプで真水を注入している。
    • 多数の農業用土壌のサンプルを米国内のエネルギー省の研究所に送付して分析。
    • 日本の省庁が食品および水の放射能汚染の検査数を増やせるよう、ゲルマニウム検査装置を各省庁に提供。
    • コメをはじめとする主要農産物による放射性同位元素の摂取率の把握のため、米国国立がん研究所および食品医薬品局(FDA)の専門家と日本の専門家が協力。
    • 在日米軍の消防車2台は、地震と津波の後、いち早く福島第1原発に到着した緊急車両に含まれており、被害を受けた原子炉への放水に直ちに使用された。
    • 福島第1原発の危機に対応している日本の人々を支援し、可能性のある解決策を見つけるために、エネルギー省のさまざまな資源や傘下にある国立研究所の能力を活用。
    • エネルギー省傘下の研究所の専門家が来日し、東京電力および日本の規制当局に技術的助言を提供するとともに、福島第1原発における原子炉の被害の程度や放射性物質の放出の評価のために技術・分析面で支援してきた。
    • エネルギー省は福島第1原発でのビデオ録画と放射線量マップの作成のために、特注ロボット、放射線センサーキット、耐放射線カメラ、ガンマカムを提供した。その他のロボット技術および遠隔操作技術の支援、および原発敷地内のがれき撤去に使用する日本側の機器の遮蔽(しゃへい)については協議中である。
    • エネルギー省は放射能汚染水の貯蔵のため、大型ステンレススチール製タンク5基も日本に向け輸送している。汚染水の特性評価が可能なシールドタンクを備えた改良型トレーラーも日本に向かっている。
  • 内閣官房の指示の下、日米の専門家は定期的に優先的な課題や必要な支援について意見交換している。両者は協力して、福島の問題の解決策につながる科学的・技術的データを検討している。
  • 米国の支援を明確に示すため、グレゴリー・ヤツコNRC委員長が3月28日に来日し、さらなる協力を約束した。エネルギー省のピーター・ライオンズ次官補代行(原子力エネルギー担当)が事実調査のために4月5日から8日まで来日し、東京電力などの業界代表と意見交換した。日本政府関係者との会合では、2国間のさらなる情報の共有を促した。
  • 保健福祉省と疾病対策センターの専門家が参加する放射線医療専門家協議タスクフォースが、次の3つのワーキンググループに分かれ、日本の専門家と協議している。モデリング・グループは放射線被ばくの健康への影響を調査する。ヨウ化カリウム(KI)グループは、指示された場合のKIの用法について議論する。リスクコミュニケーション・グループは一般の人々に情報を提供する戦略を検討する。