日米首脳会談におけるオバマ大統領と菅首相の冒頭発言

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

ホテル・ロイヤル・バリエール、フランス・ドービル

2011年5月26日

オバマ大統領 菅首相と重要な問題について再び話し合う機会を得て私がいかにうれしく思っているかを、ごく手短にお話ししたいと思います。何度も申し上げてきたように、最も強固な同盟のひとつである日米間の同盟は、半世紀にわたり両国をより安全に、そしてより豊かにしてきました。

 言うまでもないことですが、地震と津波、原子力発電所の事故が日本にもたらした大きな被害を見て、私たちは皆、深い悲しみを感じました。私が繰り返し菅首相に申し上げてきたとおり、米国はどれだけ時間がかかっても日本の復興を支援していきます。私たちは日本がこの困難を克服し、これまで以上に強くなると確信しています。

 一方、日米両国はさまざまな国際問題、および2国間問題について引き続き協力していきます。日本は、アフガニスタンにおける開発促進への米国の取り組みに多大な貢献をしてきました。またパキスタンについても同国の行政サービス向上への取り組みや開発を強力に支援、貢献してきました。

 日米は対イラン制裁のような問題についても協力してきました。さまざまな国際的な開発機会の分野でも協力してきました。そして言うまでもなく、北朝鮮の動きや、同国による非核化プロセスの履行の確認、東アジアの長期的な安全保障体制の検討など、東アジアの安全保障の面で引き続き非常に緊密に協力していきます。

 私たちは通商問題でも緊密に協力する機会を得てきており、アジア太平洋地域における貿易や通商の機会の継続的な拡大を確実にするため両国とも力を尽くしています。

 米国にとって日本の皆さん以上の友人はいません。日本が大きな危機に直面している時に菅首相が発揮してきた素晴らしい指導力に私たちは深い敬意を表します。そして日本が復興するに際し、我々は常に日本国民と共にあり、日本が世界のリーダーとしての役割を引き続き果たしていくと強く確信していることを日本の皆さんに強調したいと思います。

 通訳のために区切ってお話しするのを忘れてしまい、申し訳ありませんでした。

菅首相 あらためてオバマ大統領に震災後初めてお会いをする中で、心からお礼を申し上げたいと思います。震災発生後、直後に電話をいただきまして、それ以来3度の電話をいただきました。また震災発生直後からロナルド・レーガン航空母艦を送っていただき、トモダチ作戦を展開していただきました。そして原子力事故に関しても、いろいろな専門的知識を持つ人材、そして機材を惜しみなく提供していただきました。この一連の米国の、大統領の行動を通して、本当に日米同盟というものの絆の深さを、私自身も深く感じましたし、日本国民全員が深く感じて心から感謝を申し上げたいと思います。

 こうしたご支援をいただいたからには、わが国は必ず復旧・復興して、世界の中でアメリカと共に世界のいろいろな活動に参加できる、そういう国としてより一層の力を高めてまいりたいと、またそのことができると確信しております。

 この大震災が始まる前からわが国は経済の再生、さらには財政の健全化、また社会保障の改革、そういった課題に取り組んでおりました。そしてこの震災で一時期そういうものが止まった時期もありましたけれども、今、震災の復興と同時に、そうした震災の前から取り組まなければならないと考えていた課題に果敢に再度取り組みをスタート――再スタートさせております。

 その中でわが国は「第3の開国」という表現で、かつての明治維新における開国、そして太平洋戦争後の開国、そして今回あらためて世界に対して経済の問題、貿易の問題で積極的につながりを深めていくと、そのことを言ってきたわけですけれども、いよいよ本格的にそれに取り組んでいきたいと考えております。

 貿易の自由化に関して、TPPについても、本来は6月までに交渉参加をするかどうかを決めるということで進めてまいりましたが、この震災で少し遅れていますけども、そう遅くならない時期にこの問題についても方針を早期に固めていきたい、こう思っております。

 また今、中東の問題、北アフリカの問題、さらにはイラン、シリア、そして先ほど触れられたアフガニスタンやパキスタン、そういった多くの課題があることを私たちも感じております。そういう分野についてわが国としてやれること、特に先ほど言っていただいたアフガニスタンに対するいろいろな開発支援、そしてパキスタンに対する開発支援など、協力できる分野では積極的に協力して共に進めていきたいと思っております。

 また東アジアの問題では、これはもちろんわが国自身の安全保障にも深く関わる問題でありますけれども、特に北朝鮮の核開発をいかにして止めるかということ、そしてまた拉致問題についてもアメリカの協力を得て解決し、この地域の非核化というものをぜひ実現するために日本としても全力をあげたいと思っています。

 いずれにしてもまずはこの震災からの復興によって日本経済の力を再び強くして、そして今申し上げたようなことに積極的に取り組めるよう、更なる努力をしていきたいと思っておりますので、これまでいただいたご支援に加えてこれからもぜひそうした面でのご協力を心からお願い申し上げます。

(菅首相の発言部分はホワイトハウスのユーチューブチャンネルの音声の書き起こし)