「2011年を振り返る――東アジア太平洋を重視へ」(国務省公式ブログへの投稿)

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

東アジア太平洋局広報文化交流部のトム・ハム広報担当官

2012年1月14日

 2011年はヒラリー・クリントン国務長官がフォーリン・ポリシー誌2011年11月号への寄稿で示したビジョンを反映する多大な努力の成果が上がり、東アジア太平洋局にとって極めて重要な年となった。(クリントン長官が同誌で示した)この戦略は、すでに強固な条約相手国との関係の活性化から、中国など地域の新興国との新たなパートナーシップの構築、地域の多国間機構への関与、貿易・投資の拡大、広範囲に及ぶ軍の駐留の実現、民主主義と人権と法の支配の推進まで、アジア太平洋局の活動の指針となった。

 長年の条約に基づく同盟国は、引き続き米国の戦略の根幹としての役割を果たしている。日本との同盟関係の強固さを証明したのは大災害だった。3月の地震、津波、原子力発電所の事故という「3重の災害」の発生を受け、米国はトモダチ作戦という大規模な救援活動を開始した。4月にはクリントン長官が訪日し、日本とその復興に対する米国の揺るぎない支援を約束した。2010年の 日米安全保障条約締結50周年を踏まえ、6月にはクリントン長官とゲーツ前国防長官が日本の外務、防衛両大臣と協議し、日米共通戦略目標を見直し、再確認した。8月にはバイデン副大統領が訪日し、続いて10月にはパネッタ国防長官も日本を訪れた。12月には玄葉外務大臣がワシントンを訪問し「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」を発表した。このプロジェクトはすでに強固な、日米両国の国民同士のつながりをさらに強化する青少年交流事業である。

 米国と韓国との2国間関係は、かつてないほど緊密になっている。この1年間に米韓自由貿易協定が議会で可決、李明博大統領が国賓として米国を訪問したほか、米国が韓国で開催される2012年麗水国際博覧会(万博)への参加を発表した。さらに11月にクリントン長官が釜山で開催された「第4回援助効果向上に関するハイレベルフォーラム」に出席し、世界規模の問題で米韓が協力を拡大していることを示した。さらに両国は、朝鮮半島の平和と安定を維持する取り組みでも緊密な連携を続けている。

 2011年に米国は、オーストラリアとの太平洋安全保障条約(アンザス条約)および米比相互防衛条約の締結60周年を迎えた。9月にサンフランシスコで開催された米豪閣僚協議(AUSMIN)では、クリントン長官とパネッタ国防長官がオーストラリアの外務、国防両大臣と会談し、11月にはオバマ大統領がオーストラリアを訪問した。同じく11月に、クリントン長官がタイを訪れ、両国の強力な同盟関係を強調するとともに、大洪水後のタイの復興活動への支援を申し出た。クリントン長官はフィリピンも訪問した。同国の外務大臣と共に米比相互防衛条約60周年を祝い、米ミサイル駆逐艦フィッツジェラルドの艦上で「マニラ宣言」に署名し、この歴史的な同盟関係を再確認した。

 米国は条約に基づく同盟国との関係を強化しただけでなく、アジア太平洋地域全域でパートナーシップを深めた。例えば2010年のウェリントン宣言に盛り込まれたニュージーランドとの新たな戦略的パートナーシップを実施している。2月に同国のカンタベリー地方が壊滅的な被害をもたらした地震に襲われた時、カート・キャンベル国務次官補をはじめとする米国代表団がクライストチャーチ市で米国・ニュージーランド・パートナーシップ・フォーラムに出席していた。米国は地震発生後、直ちに都市捜索救助隊を派遣し、今もニュージーランドの友人たちへの復興支援を続けている。

 8月にバイデン副大統領がモンゴルを訪問し、20年に及ぶモンゴル民主化に対する米国の支持と両国の経済関係の強まりを明確に示した。7月にはクリントン国務長官が、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムに合わせて開催された米国・インドネシア包括的パートナーシップ合同委員会の共同議長を務めた。11月にはオバマ大統領が東アジア首脳会議出席のため、2回目のインドネシア訪問を果たした。同じく11月に、クリントン長官がインドネシアとの間で、生産性の向上、エネルギー・コストの削減、再生可能エネルギーの拡大による世帯収入の増加、子どもの栄養状態の向上、公共部門の製品およびサービス供給の向上の支援を目的とする期間5年、拠出額6億ドルの協定に署名した。また米国教育省は10月にワシントンDCで、第1回米国・インドネシア高等教育サミットを主催した。

 米国政府全体での取り組みの一例として、キャンベル次官補は6月に、パトリック・ウォルシュ米太平洋艦隊司令長官、米国国際開発庁(USAID)のニシャ・ビスワル・アジア局長、リチャード・シムコック米海兵隊准将と共に太平洋諸島7島を訪れた。また9月にはナイズ国務副長官が過去最大の米国代表団を率いて、ニュージーランドが主催した太平洋諸島フォーラムに出席した。ナイズ副長官はこれまでに同フォーラムに出席した米国代表の中で最高位にある。2月にはエネルギー省のダン・ポネマン副長官が、米国と台湾国民との長年にわたる非公式な関係を基盤に、科学・エネルギー技術における2国間協力を推進するため台湾を訪問した。ポネマン副長官はこれまでの約10年で台湾を訪問した米国政府高官の中で最高位にある。

 クリントン長官がフォーリン・ポリシー誌で述べたように、米国はインドと緊密に協力し、アジア太平洋地域の発展に重要な役割を果たしたいというインドの熱意を支持している。12月に米国は、史上初の日米印3カ国対話を主催した。3カ国は2012年に東京で再び会合を持ち、討議を続けることで合意した。

 前向きで協力的かつ包括的な米中関係の構築は、米国のアジア太平洋政策の中核である。胡錦濤国家主席が1月に国賓としてワシントンを訪問し、8月にはバイデン副大統領が習近平副主席の招きで北京と成都を訪れた。5月にはクリントン国務長官とガイトナー財務長官が第3回戦略・経済対話を主催した。この対話は貿易、投資、通貨から安全保障、エネルギー、人権まで幅広い議題を取り上げる、これまでで最も集中的かつ包括的な米中両政府間の対話である。米国はイランの核開発計画に対する国際社会の深刻な懸念や、朝鮮半島における平和と安定という共通の目標など世界規模の課題に取り組むために中国と協力する。両国の建設的な関係を保つため、米国企業が中国で事業を展開するための公平な条件の整備や国際的な人権基準に従う必要性など、米中は意見の相違点や大きな課題の残る分野について率直に話し合っている。相互理解を通じて中国との対話を改善するという米国の長期的な取り組みの一環として、クリントン国務長官と劉延東国務委員は4月に、さまざまな分野の交流を促進する「人文交流協議」の共同議長を務めた。中国への米国人留学生の数の増加を目的とする官民の取り組みである「100000ストロング・イニシアチブ 」は大きく勢いを増しており、12月にはウィル・アイ・アム、アップル・デ・アップ、ジョン・レジェンドのほか、何人かの中国人ポップスターによるコンサートが北京で開かれた。

 この地域の多国間機構に関与する米国の取り組みの一環として、オバマ大統領とクリントン長官が11月にバリ島を訪問し、米国は正式に東アジア首脳会議に参加した。この会議でオバマ大統領は、海上の安全保障、核の不拡散、人道支援・災害救援など地域の重要な政治および戦略的課題について開かれた議論と多国間の取り組みの目に見える進展を奨励した。またバリでは、オバマ大統領が第3回ASEAN・米国首脳会議でASEAN10カ国の首脳と協議した。 各国首脳は2500万ドルを投入し、ASEANに英語教育のためのASEAN・米国パートナーシップを発足させることで合意した。資金は寛大にもブルネイ政府が拠出する。このパートナーシップはASEANの多様なメンバーの統一、英語能力の向上、地域の教育機会の促進に貢献する。7月にはクリントン長官が自らにとって3回目のASEAN拡大外相会議に出席し、米国代表団を率いて第18回ASEAN地域フォーラムおよび東アジア首脳会議の閣僚会議に参加した。 地域フォーラムでクリントン長官は、南シナ海での紛争に対する米国の原則に基づく取り組みをあらためて表明し、朝鮮半島の非核化を提唱し、ビルマの動きを議論した。またカンボジア、ラオス、タイ、ベトナムの各国外相との第4回メコン河下流域イニシアチブ閣僚級会合、ならびに第1回メコン河下流域開発閣僚級フレンズ会合を主催した。

 アジア太平洋地域内の潜在的な経済成長力の活用は、この地域における米国の外交政策にとって極めて重要なことである。2011年を通じアジア太平洋経済協力会議 (APEC)の主催国を務めた米国は、アジア太平洋地域に開かれた、自由で透明かつ公正な持続的経済体系を構築することに力を入れた。11月にハワイで開催されたAPEC首脳会議では、環太平洋パートナーシップ 協定(TPP)について大筋の合意に達した。2011年末には、画期的な米韓自由貿易協定が、米国連邦議会および韓国の国会で承認された。同協定は現在実施に向け手続きが進んでおり、今年初めには発効する予定である。

 アジア太平洋地域における米国の安全保障態勢は、同盟国への支援、重要な地域の安定の確保、そして核の不拡散、海上の安全保障、漁業、津波などの災害時の救援などの問題における米国の利益の推進に重点を置いている。11月にオバマ大統領はキャンベラで、米海兵隊を周期的にオーストラリアのダーウィンに駐留させると発表した。これにより米国は地域全体の同盟国およびパートナー諸国との訓練・演習・作戦能力を強化し、人道的危機や災害救援など幅広い課題に協力的かつより迅速に対応する能力を向上できる。

 地域全域で関与を深めていく中、米国は人権および民主主義を推進する改革を受け入れるよう各国を強く促す立場を引き続き堅持している。ビルマ政府に対して圧力と関与を併用する「原則に基づく関与」政策の一環として、クリントン長官は11月30日から12月2日までビルマを訪れた。この歴史的な訪問で、同長官はネピドーで政府高官と会談したほか、ラングーンではアウン・サン・スー・チー氏や市民団体の指導者たちと面談した。クリントン長官はビルマ訪問中、ビルマ政府が正しい方向へ前進を続けるならば、米国はさらなる(前向きな)措置を取る準備ができていると語った。2012年1月13日、クリントン長官は最近ビルマ政府が事態を進展させたことに鑑み、連邦議会と協議し、オバマ大統領の指示を受けた上で、米国政府がビルマとの間で相互に大使を派遣する手続きを開始すると発表した。しかしながら、まだ成すべき仕事が残っており、米国はビルマ政府と共に同国の改革および和解への取り組みを続けていく。こうした取り組みには、民族的少数派の懸念への対処、自由で公正な補欠選挙の実施のほか、刑務所からの全ての(政治囚の)釈放を無条件とすることや、今も拘留されている政治犯を全て釈放することが含まれる。またビルマが北朝鮮との違法な軍事的つながりを全て断ち切るよう今後も促していく。

 ワシントンDCの東アジア太平洋局の200人を超える外交官および職員、そして外国で勤務する9000人近い国務省職員は毎日、大小さまざまな形で、この地域におけるパートナーシップの構築に向け尽力している。クリントン長官はフォーリン・ポリシー誌の記事で、次のような疑問について触れた。「国外では人々が米国の意図、すなわち関与と主導を続ける米国の意志について疑問を抱いている。アジアの人々は米国が本当にアジアにとどまり続けるのか、他の地域での出来事により再び注意をそらされる可能性はないのか、米国は経済・戦略面で信頼できる約束をし、その約束を守れるのか、そしてそうした約束を裏打ちする行動が取れるのか疑問に思っている」 。これに対し、クリントン長官とキャンベル国務次官補のリーダーシップの下、東アジア太平洋局の優秀な専門家たちは日々、はっきりとこう答えている。「米国には約束を実行する能力と意志がある」