ファクトシート――米国の太平洋地域への関与

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

米国国務省報道官室

2012年8月31日

 米国は1912年の真珠湾海軍基地の創設から、今日の 200人を超える平和部隊ボランティアによる太平洋地域各地での活動まで、1世紀以上にわたり太平洋地域全体の発展を促す原動力であり続けてきた。自らも太平洋国家である米国は、 近隣諸国と価値観を共有するだけでなく、その希望と目標を理解し、それを実現しようとする太平洋諸国とその国民を支援しようとしている。ヒラリー・クリントン国務長官が米国の国務長官として初めて太平洋諸島フォーラム(PIF)域外国対話に出席したことは、米国が太平洋島しょ国と協力し、気候変動、経済開発、男女平等、教育、平和と安全保障といった地域的・世界的な課題に取り組もうとする決意の表れである。

環境管理――米国は、太平洋固有の海洋資源を保護するために太平洋諸島と協力することを約束しており、キリバス共和国と共に、フェニックス諸島保護区と太平洋離島海洋国定記念物(合わせて63万3000平方キロメートル以上に及ぶ海洋保護区)の保護・保存・保全管理の促進のために協力が可能な分野を検討していく意思を表明している。

気候変動――気候変動は太平洋地域の人々にとって最も差し迫った懸念事項のひとつであるとの認識の下、米国は地域社会の気候変動の影響への適応を支援するため、太平洋地域内での能力の強化に努めている。気候変動の影響を受けやすい沿岸部の地域社会の気候や悪天候に対する抵抗力を強化するために5年間で2500万ドルを提供する沿岸地域適応プログラムを導入するほか、100万ドルを拠出して、再生可能エネルギーへの投資の維持を目的とするクリーンエネルギー職業訓練・教育プログラム(VOCTEC)を創設する。
 
太平洋地域の女性のエンパワーメント・イニシアチブ――国務省はオーストラリア、ニュージーランド、その他の官民のパートナーと協力して、太平洋地域の女性のエンパワーメント・イニシアチブの次の段階である「太平洋諸島の女性の地位向上のためのラロトンガ・パートナーシップ」を開始する。これは、ジェンダーの問題に積極的に取り組むプログラムを通じ、リーダー育成、奨学金などの教育の機会を大きく拡充する革新的なパートナーシップである。このイニシアチブの中心的存在として、東西センターがラロトンガ・パートナーシップをまとめ、変化を促進する触媒として、また太平洋地域各地の教育機関の間の連携を活発に促す拠点としての役割を果たし、太平洋地域の女性が官民のリーダーとしてより大きな役割を果たす新たな機会を創出することになる。さらに米国とニュージーランドは、2013年にジャマイカで開催されるカリブ海・太平洋フォーラムの女性の経済的エンパワーメントおよび持続可能な農業に関するプログラムでも協力する。

安全と安全保障――多くの太平洋島しょ国は今も、不発弾など第2次世界大戦の戦闘の遺物に対処している。国務省および国防総省は太平洋諸島のパートナーと協力し、不発弾の除去に向けたより統合的な取り組みを支援するため、今後3年間で太平洋島しょ国における評価・訓練・除去プロジェクトに350万ドルを投資する。米国は海洋に対する意識を高め、環境保全対策を実施するために、太平洋地域9カ国間の共同法執行活動を可能にする協定として大きな成功を収めている乗船協定をさらに拡大しようとしている。さらに、太平洋上で1960万平方キロメートルの海域にわたって捜索・救助活動を行う態勢を常に整えている米国沿岸警備隊が、米太平洋軍司令部と協力して、自由連合国の海上領域の認識能力を向上させる訓練を行う可能性を検討している。
 
経済成長と繁栄――2012年の米国の太平洋島しょ国への輸出は、現在までに170億ドルを超えている。米国のPIF加盟国・地域との貿易は、2カ国を除き黒字となっている。地域の経済の成長と発展は米国の産業にとってプラスである。輸出入銀行はこの地域で活発に活動しており、大半のPIF加盟国・地域で、米国の設備およびサービスの調達に関し、短期・中期・長期的な融資を提供している。過去3年間の太平洋地域でのプロジェクトに対する輸出入銀行による融資はおよそ70億ドルに上り、一例としてオーストラリアとパプアニューギニアでの新たな液体天然ガス・プロジェクトの開発や、ニュージーランドの旅客機購入などがある。1980年以降、海外民間投資公社(OPIC)は太平洋諸島地域に3億4100万ドル以上を投資し、パプアニューギニア、ミクロネシア、フィジーでの投資と開発を支援している。現在、同地域におけるOPICの投資・保険総額は4500万ドルを超えており、地域内で実行可能なプロジェクトを積極的に支援しようとしている。  

経済的連携の構築――国務省は米国と太平洋諸島との文化的・経済的つながりにかんがみ、「太平洋諸島IdEAマーケットプレース」(PIIM)を発足させるために、PIF事務局の太平洋諸島貿易・投資部門と協力している。PIIMは、ディアスポラ(他国からの移住者)をアフリカ、カリブ海諸国、および中南米の地元住民と結びつけることに成功している革新的なプログラム「国際ディアスポラ関与連盟」(IdEA)の枠組み内で実施される。PIIMの協力機関が、経済開発を推進し、人々の自然災害に対するぜい弱性を軽減する革新的なアイデアを競うコンテストを創設する。このコンテストの入賞者は、事業計画策定に際し技術的支援を受けることができ、プロジェクト融資や起業家ネットワークの利用も可能になる。

環境関連の犯罪と闘うための法執行と刑事司法――国務省は引き続き、汚職対策、法執行、法の支配に携わる諸機関の能力を強化するために、太平洋島しょ国と地域の他の国々との連携を促していく。国務省は司法省の検察制度整備・支援・研修室と共同で、インドネシアで検察官が主導する新たな天然資源関連の犯罪タスクフォースを支援している。このタスクフォースは、天然資源関連の犯罪の訴追の強化に関して、太平洋諸国の模範となり得る。

太平洋パートナーシップ――来年(2013年)、米海軍の太平洋パートナーシップが太平洋に戻ってくる。 太平洋パートナーシップはこれまでに、合計15カ国で25万人に医療および歯科治療サービス、ならびに教育サービスを提供するとともに、150件以上のエンジニアリング・プロジェクトを完成させた。

憲法制定と民主主義――今年(2012年)、米国国際開発庁(USAID)はおよそ200万ドルを拠出し、フィジーの民主主義制度とパプアニューギニアの自由で公正な選挙を支援した。

地域プロジェクトの支援――在フィジー米国大使館の地域環境室は、地域内各地で実施される環境および保健に関する課題に取り組む地域プロジェクトに対し、少額の補助金を多数付与している。その金額は年間で合計7万5000~12万5000ドルに上る。

市民社会への少額の補助金――国務省とUSAIDは地域内で、市民社会発展のために以下のような少額の補助金を付与している。

  • パラオの女性会議20周年(ベラウ共和国コロール)――パラオの女性会議20周年を迎え、同会議の功績を紹介するとともに、この組織の歴史的・文化的な発展を記録する刊行物が作成される。
  • 空港改変プロジェクト(マーシャル諸島共和国マジュロ)――マジュロ空港に隣接する未使用の土地を、この環礁で最大の、環境にやさしい屋外運動施設に変えるプロジェクトである。
  • 気候変動が公衆衛生に及ぼす影響の緩和に向けた民主主義の強化(ベラウ共和国コロール)――このプロジェクトは、疾病対策予防センターが資金を提供し、南イリノイ大学が出版した新刊「Public Health Impacts of Climate Change in Palau」の内容を、テレビや新聞・雑誌でのキャンペーンを通じて詳しく説明し、気候変動が公衆衛生に及ぼす影響に対する意識を高め、議論を促進することを目的としている。
  • 経済革新基金:最低限の生活から市場経済への移行(ミクロネシア連邦コロニア)――このプログラムは農村地域の所得の向上と家庭の栄養水準の引き上げを目的とするミクロネシア連邦政府の現行のプログラムと連動して実施される。

人と人とのつながり――米国は以下のような手段を通じ、あらゆる分野で太平洋地域の人々に関与し、彼らの懸念事項に対処し、長期的な関係を築いていく。

  • PIF青少年会議――この会議はニュージーランドで開催され、16のPIF加盟国・地域からそれぞれ青少年のリーダーが参加し、地域の政治・経済・環境・社会に関する主な課題について話し合うとともに、会議後も継続的に連絡を取り合う太平洋地域の青少年指導者のネットワークを構築する。
  • 太平洋諸島スポーツビジター・プログラム――スポーツビジター・プログラムは聴覚障害を持つ陸上競技選手を対象としてきた。2013年春のプログラムでは、国内と地域の両方で、特に青少年について、障害者のスポーツ参加に対する意識を向上させる。
  • 米国・サモア青少年リーダーシップ・プログラム――2013年12月に、米国人20人がサモアで4週間の交流プログラムに参加し、サモアの10代の若者20人と共に食料安全保障と栄養について学ぶ。
  • リーダー育成――東西センターと地域の他の資金提供者が300万ドルを拠出し、太平洋諸島の若者125人にリーダー育成研修を提供するプログラム。