太平洋地域における米国の平和と安全保障のためのパートナーシップを記念 - ヒラリー・クリントン国務長官のスピーチ

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

タマリンドハウス、クック諸島ラロトンガ

2012年8月31日

 (米太平洋軍司令官サミュエル・)ロックリア大将の強いリーダーシップ、優れた洞察力、またこの広大な地域が直面する課題と機会への理解に対しお礼申し上げます。また(チャールズ・)レイ少将の地域の安全保障と沿岸警備隊での重要な任務への取り組みにも感謝します。地域の平和と安全保障、そして米国が長年果たしてきた、そしてこれから果たそうとしている役割について議論するこの場に皆さんにお集まりいただき、うれしく思います。

 アジア太平洋地域への米国の関与について語るとき、私たちは共通の価値を反映し、実質的な利益をもたらし、より強固な経済と社会の創出に寄与するパートナーシップのモデルについて考えています。米国の目標は、太平洋地域の島しょ国が自国の願いを実現し、目標を達成できるよう支援することです。そのために、経済機会の拡大から、環境保護、ジェンダーに基づく暴力との闘いにいたるまで、米国はあらゆることに取り組んでいます。またアフガニスタンやスーダンなど、世界中の戦火で荒廃した地域に平和と安全を実現するために太平洋のパートナー諸国の多くが犠牲を払ったことに、特に敬意を表します。

 過去3年半にわたる米国の太平洋地域への新たな関与を、特定の国に対する防衛策とみる人がいることを私は知っています。しかし実際には、今朝お話ししたように、米国は日本、欧州連合、中国など多くのパートナー諸国との協力を歓迎しています。太平洋地域は私たち全てにとって十分な大きさです。この極めて重要な地域の平和、安全保障、繁栄の促進は、私たちに共通の関心事です。

 米国は2つの分野に力を入れています。すでにパートナー諸国と緊密に協力し、犯罪、人身売買、核不拡散、災害への対応や準備などの国際問題や海洋安全保障の問題に取り組んでいます。しかし本日は2つの問題を特に取り上げたいと思います。まずは海上領域認識の問題です。乗船協定に基づくプログラムでは、太平洋島しょ国の法執行官が米国沿岸警備隊の船舶や航空機に同乗し、自国の沿岸地域を巡回します。これは大きな利益をもたらします。例えば、このプログラムのおかげで、キリバスは2009年以降、違法漁業の罰金として400万ドル以上を徴収しています。私たちは現在、この乗船協定に基づくパートナーシップを拡大し、米国沿岸警備隊に加えて米海軍も参加させようと努力しています。これにより、各国は自国の法の執行において、地域にすでに配備されている、あるいは地域内を航行中の米海軍の船舶から支援を受けられるようになります。

 さらに、米国はオーストラリア、ニュージーランド、フランスと協力し、主に漁業に重点を置いた太平洋での海上監視パートナーシップの強化に努めています。こうした取り組みは全て、地域の人々が豊富な海洋資源の恩恵を確実に享受できるようにするという目標の下、地域の法執行を強化し、安全保障を促進するために役立つでしょう。

 では2つ目の課題に移ります。第2次世界大戦で使われ、残念ながらまだこの地域の土地や海を汚染している不発弾の数を削減する取り組みです。誰もこの問題を十分に理解していないことは分かっていますが、地域の安全保障と繁栄のために極めて重要な問題であることは認識しています。腐食している兵器からは化学物質が流出し、海や土壌を汚染します。その場合、土地の開発、観光の振興、経済成長がより困難になります。犯罪者が兵器や小型の武器を回収し、利用することも考えられます。また残留不発弾を拾い上げたり、踏んだりして多くの子どもや大人が手足を失うなど、住民に多大な被害が及ぶ可能性もあります。

 近年、米国政府は太平洋諸島全体で残留不発弾を特定し、除去し、破壊する取り組みを支援するために、200万ドル以上を拠出しています。本日はさらに、この取り組みのために350万ドルの追加拠出と訓練の実施を目指すことを発表します。不発弾の状況を評価し、地元のチームに不発弾の特定と安全な除去に関する訓練を実施する、より統合的な取り組みを推進したいと思っています。

 ロックリア大将とレイ少将の話にあったように、米国は太平洋地域におけるこれらの取り組みや、多くのパートナシップ、長年にわたる友好関係を支援することを誇りに思っています。70年前、私たちの国々は太平洋地域の安全保障と平和のために共に戦いました。あの悲惨な世界大戦が終わった時点で、私たちが70年後どうなっているか誰が予測できたでしょう。

 米国は太平洋地域にとどまり続けました。そして地域の人々が発展し、商取引にいそしみ、安心して子どもを育て、より豊かになることができるように、地域の安全の維持に力を注いできました。21世紀に太平洋諸島の全ての人々が、神から与えられた可能性を実現する機会を確実に得られるよう、私たちは今後も協力し合っていくつもりです。それこそ、米国が他国とのパートナーシップや友好関係にもたらす希望です。私たちはこのような希望や決意を実現するために、非常に現実的な取り組みをしてきました。米国は今後何十年、おそらく何百年も皆さんと共にあり、太平洋諸島が繁栄し、ますます強力なるのを見届けるでしょう。ありがとうございました。