キンバリー・プロセス:市場変化に応じ、改革必要
*以下は、2012年11月29日付毎日新聞朝刊8面に掲載された米国のミロバノビッチ大使(キンバリー・プロセス問題担当)の寄稿を、同新聞社の許可を得て転載したものです。
議長・ミロバノビッチ担当大使が寄稿
ワシントンの米国務省で27日にキンバリー・プロセス参加国などの年次総会が始まった。議長で米国のジリアン・ミロバノビッチ担当大使は毎日新聞への寄稿で同制度改革の必要性を訴えた。
キンバリー・プロセス(KP)証明制度が、世界のダイヤモンド原石の産出と取引に関する要件を定め約10年が過ぎた。参加国などは世界市場の変化に対応するため制度を進化させる必要がある。
KPの創設者たちは、ダイヤが反政府組織の資金源とならないように合意し宝石の評価を守ることで、需要を維持する努力をしてきた。証明書があれば、消費者は原石が暴力の資金源になっていないことを確認できる。
しかし、KPの「紛争ダイヤ」の定義は今日の課題にも、また別の種類の紛争に関わるダイヤの問題にも対応していない。一部のダイヤが暴力と関連付けられればダイヤ市場全体にマイナスとなる。こうした懸念に対処し、ダイヤに対する信頼を維持し、売り上げの減少を防ぐKPの定義について合意して、以下に重点を置いた改革を行うべきだ。
①証明書は原石が紛争との無関係を保証。最良事例の情報交換を通じ人権と財務の透明性と開発を推進。
②証明制度はダイヤ原石との関連が明らかで、独立した第三者が立証する紛争・暴力のみに適用されるべきだ。
③輸出入制限措置は、他の紛争鉱物に関する証明制度と整合性を持ち個々に実施すべきだ。
参加国は上記のリスク管理とダイヤ市場の将来を確保する能力を持つ。消費者の信頼を失えば、ダイヤの価値連鎖に最も依存する国に大きな影響を及ぼす。長期的には、KP合意に取り組まないことで生じる損失は合意形成のために費やす努力よりはるかに大きい。