実証されたアジア太平洋地域に対する米国のコミットメント

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

カート・キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)

2013年1月16日

 2012年は、米国のアジア太平洋外交にとって歴史的かつ重要な1年であった。2011年末にクリントン国務長官がアジアへの「転換」を発表した後、米国はアジア太平洋諸国との関係に重点を移し、こうした関係を強化する取り組みにより一層力を入れた。各国との2国間関係に大幅な改善が見られ、地域の多国間機関への関与のレベルがこれまでになく高まった。クリントン長官が述べたように、アジア太平洋地域は国際政治を動かす主要な原動力のひとつであり、世界で最も急速に成長する経済を持つ国々がこの地域に集まっている。米国は太平洋国家として、地理的にこの地域と結び付いており、これを変えることはできない。そしてわが国の将来の安全と繁栄は主に、この地域での出来事や展開によって決まる。そのことを念頭に置いた上で、東アジア・太平洋局はこの1年間、この重要な地域に対する米国のコミットメントの強化により、約束を実行に移してきた。

 米国はアジア太平洋地域で、同盟関係を強化し、新興国やパートナー諸国との関係を深め、多国間機関への関与を拡大している。米国の政策は人権、民主主義などの価値観の推進、商業的関与、公正な貿易、開かれた市場の支持、そして紛争の平和的解決を基盤としている。わが国は人道援助や災害救援活動を積極的に行っており、これは最近のパラオ、フィリピン、サモア、フィジーでの活動から明らかである。さらに教育・文化交流、スポーツ外交、科学技術分野での連携を通じて、米国民とアジア太平洋地域の人々とのつながりの強化を促進している。

 2012年に米国は、条約に基づく同盟国である日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、タイとの安全保障関係を深化させた。これらパートナー諸国と協力して安定を促進し、テロや国際犯罪などの課題に対処している。 我々はこうした同盟諸国と緊密に連携し、アジア太平洋全域における兵力の再編を大きく前進させた。これにより、地域内の米軍の政治的な持続可能性、作戦面での弾力性、および地理的な分散性が高まることになる。オーストラリアとの間での戦力態勢の見直しに関するイニシアチブの一環として、米海兵隊のローテーション配備の1回目が無事に完了し、この地域の緊急事態や災害への対応での柔軟性が高まった。フィリピンとの間では海上協力を強化する措置を取っており、またオバマ大統領のタイ訪問は、21世紀の課題に合わせてわが国の同盟関係に新たな方向付けを行う上での進展を示すものだった。今後について言えば、2013年は米韓関係が60周年を迎え、両国の関係にとって記念すべき年となる。

 2012年には、中国、インドネシア、ベトナムなど地域の新興国への関与も強化した。これらの国々と協力し、貿易と経済成長を促進し、国際的な課題に対する共通の解決策を見出そうとした。例えば情報の共有や、国際法に準拠する、規則に基づく秩序の強化などである。ニュージーランドとの間では安全保障面での協力を強化し、海洋安全保障分野での協力、人道援助や災害救援活動、平和維持活動における2国間の取り組みを拡大して、地域の防衛・安全保障問題への取り組みで連携することを約束した。また自由連合盟約の当事国(パラオ、ミクロネシア、マーシャル諸島)とも協力し、これらの島国が直面する医療、教育、安全保障、インフラ、経済開発に関する課題に取り組んでいる。

 中国とは、あらゆるレベルで緊密な協力を続けている。昨年5月に北京で開催された米中戦略経済対話には、国および地方の政府関係者が多数参加し、政府を挙げて議論する場となった。米中はまた、教育、文化、科学技術、スポーツ、および女性問題の各分野で米中両国民の交流を深める対話の場として、人材交流に関する米中協議を開催した。さらに国務省は、今後、学生間の交流を拡大することで米中関係に貢献するために、中国に留学する米国人学生の増加を目指す官民パートナーシップ「100000ストロング・イニシアチブ」を、政府のプログラムから民間の非営利組織に移行させた。

 2012年には、米国の対ビルマ関係も大きく前進した。(ビルマによる)さらなる改革措置に対応し、わが国は米国による新たな対ビルマ投資、金融サービスの輸出、ビルマ製品の輸入に対する制限を緩和した。7月には、1990年以来初めて、信任状を付与された正式な駐ビルマ大使を復活させた。9月には、改革を目指すビルマのテイン・セイン大統領と、ノーベル賞受賞者でビルマの国会議員であるアウン・サン・スー・チー氏が米国を訪れた。そして11月にはオバマ大統領が、現職の米国大統領として初めてビルマを訪問するという歴史的な出来事があった。これらの訪問の成功により、ビルマの民主改革を支持するという米国のコミットメントが明確に示された。