ルース大使離任の言葉: 「ありがとう、日本!」

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

ジョン・V・ルース駐日米国大使

2013年8月9日

 4年にわたり駐日米国大使を務めたこの美しい国、日本を妻のスージーと共に離れるにあたり、私は謙虚な気持ちで、日本の皆さん、そして同胞の米国人から学んだ全てのことに深く感謝しています。

 私にとって東日本大震災は人生を一変させる出来事でした。大災害がもたらした惨状の中で、米軍兵士が自衛隊員と協力して救命活動にあたり、東北の人々を支援し彼らに希望をもたらした光景には大いに励まされました。在日米国大使館には、日本に来て支援したいという米国民からの要望がたくさん寄せられました。米国内では、一般の米国人が、金額の多寡にかかわらず義援金を寄せてくれました。震災というとてつもない悲劇の中で、両国の絆が強まりました。

 東北が前に進むためにどのような支援をしたらよいかと考えていた私たちは、被災地の人々に何が一番必要かを尋ねました。そのうちの1人が陸前高田市の戸羽市長です。陸前高田の子供たちに英語力と世界で通用する技能を身に付けさせたいので、支援してほしいという戸羽市長の言葉に触発され、私たちはTOMODACHIイニシアチブを創設しました。TOMODACHIは、日米の企業および個人から資金提供を受け、日米の若者の間での双方向の交流の拡大に努める官民パートナーシップです。これらの企業や個人は、経済、政治、文化面で両国の幅広いパートナーシップを維持し、深めることができる唯一の方法は、このような相互交流であることを理解しています。

 実際、日米関係ほど重要な2国間関係は他にありません。米国と日本は協力して、世界各地で人々に希望をもたらしています。国連予算の分担金額では1位と2位を占めており、国連での両国の取り組みは、平和維持、海賊対策、核不拡散と多岐にわたっています。日米が共同で行う活動が、アフガニスタンでの持続可能な成長、アフリカの人々の健康状態の向上、世界の最貧国の飢えた人々の栄養状態の改善に寄与しています。こうした全てを支えているのが日米安全保障同盟であり、アジア全域だけでなく世界の平和と安定の基盤となっています。

 何日か前、私はアメリカ同時多発テロの後、ニューヨークに駆けつけた日本人消防士の皆さんに会いました。彼らは、テロが発生して何時間もたたないうちに、ワールドトレード・センターが建っていた場所に向かう準備をはじめました。そして命の危険も顧みず、グラウンド・ゼロの現場で米国人の仲間と共に働きました。

 これらの消防士たちは、日米の友情が東日本大震災から始まったのではないことを思い出させてくれますし、TOMODACHIイニシアチブは、両国の関係が今後も日々新たになり、強化されることを思い起こさせてくれます。人と人との絆が、楽しいときも苦しいときも、日米のパートナーシップを強固で、幅広く、非常に力強いものにしてくれます。

 過去4年間で、スージーと私は47都道府県のすべてを訪れましたが、どこへ行っても日本文化の豊かさ、日本の人々のもてなしの心、そして強靭な国民性に驚嘆しました。この国を離れるのはつらいことですが、私たちはこれからも日本と深く関わっていきたいと思います。

 スージーと私は、あらゆる意味で、いつまでも日本のトモダチです。さようなら。