「変わらぬアジアへのリバランス」- ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)のハフィントンポストへの寄稿

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

 2013年12月31日

  米国の安全と繁栄はアジア太平洋地域の平和的発展と密接不可分である。だからこそ、5年近く前、オバマ大統領はこの地域への関与を米国の戦略的優先事項のひとつとした。そしてわれわれがこのビジョンを継続的に実践するなか、2013年はアジアへの外交的関与に集中的に取り組む年になった。

  米国は、アジアで、安定し繁栄する民主主義国家を増やすことに力を注いでいる。パートナー諸国と共に教育、安全保障、機会の拡大を推進し、アジア太平洋地域の何億人もの人々により大きな自由を提供するにあたり、非常に重要な役割を担うことができる。アジア太平洋諸国と協力して自由貿易と経済成長を拡大することで、全ての国に資する共通の繁栄を生み出すことができる。

  実際、米国のこの地域への輸出額は昨年(2012年)5550億ドルにのぼり、米国内のおよそ280万の雇用者数を支えた。ジョン・ケリー国務長官がいつも言うように、経済政策と外交政策は表裏一体であり、だからこそ同長官は就任直後から、オバマ大統領のアジアへの戦略的再均衡(リバランス)の推進を明確な優先事項のひとつとしてきた。

  ケリー長官は先日ベトナムおよびフィリピン訪問から帰国し、過去9カ月で4回目となるアジア訪問を終えた。国務長官就任1年目で東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の全首脳と外相、ならびにオーストラリア、中国、日本、韓国および多くの太平洋島しょ国の首脳と会談したほか、閣僚会合ではヘーゲル国防長官、ルー財務長官、プリツカー商務長官とそれぞれ共同議長を務めた。またフロマン米国通商代表と共に、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定参加国首脳の会合を主導した。さらに地域の多国間会合にも参加した。

  東アジア・太平洋担当の国務次官補として、私はリバランスの実施に責任を負う部局を統括しており、前述の全ての会合に出席してきた。ケリー長官との議論は決して表面的なものにとどまらないと、私は断言できる。長官は物事を成し遂げると心に決めており、大きな成果を挙げるためにリスクを冒すことを恐れない。

  しかし、われわれの関与は会合に参加することだけではない。米国政府機関と民間部門のチームワークのおかげで、米国はフィリピンでの大型台風30号の被害に迅速かつ効果的に対応できた。この台風による破壊のすさまじさをケリー長官は先週、タクロバンで直に目にしている。

  今月ベトナムでケリー長官が発表した、地域の海事能力の強化に何千万ドルもの資金を拠出するプログラムは、東南アジアの繁栄と安全を向上させるわれわれの広範な取り組みを拡充するものである。

  米国の再生可能エネルギー、環境および気候変動に関するプログラムは、ケリー長官が先週メコン川流域で目にした持続可能な開発や食糧安全保障のような課題に対応する。

  教育交流や青少年を対象とする米国の新たなイニシアチブは、今秋マレーシアで開催されたグローバル・アントレプレナーシップ・サミットでケリー長官が語った、今後この地域の人口動態を変化させることになる「若者による衝撃」にわれわれが適応するために役立つ。

  ケリー長官がこの地域を訪問するたびに多くのパートナー諸国から言われるように、安全を保証する米国の役割は、国際法および規範に従った紛争の平和的解決を求めるわれわれの主張と相まって、南・東シナ海における緊張が紛争に発展するのを防ぎ、安定と商業の自由な流れを確保している。

  米国はこの活力ある地域でわれわれの価値観と利益を推進するため、あらゆる政治、外交、経済手段を活用している。だからこそ、オーストラリア、日本、韓国と米国とのパートナーシップは良好な状態にあり、北朝鮮、イラン、気候変動などの重要な問題でかつてないほどの協力を中国から得ている。ケリー長官の最近のハノイおよびマニラ訪問の成果から判断すると、こうしたやり方は実を結びつつあり、より一層の経済成長、安全保障上の協力、教育および人と人とのつながりの拡大、統治と人権での進展を通じて、米国と地域の双方にとって利益をもたらすことになる。同盟国および新たなパートナー諸国と共に、米国の関与は日々拡大している。

  2009年初めに始まり、第1期オバマ政権で進展した大統領のリバランス戦略を、ケリー長官は明確に推し進めている。リバランスは引き続き、大統領が主導するチームとしての取り組みであり、大統領はカリフォルニア州サニーランズでの中国の習近平・国家主席との前例のない首脳会談など、この1年を通じ、アジア首脳との一連の重要な会談を主催してきた。副大統領も同様で、2013年だけでシンガポール、日本、中国、韓国を訪問した。

  地域のパートナー諸国の中には、例えば米国の国内政治の状況により、大統領がアジアで開催される会合に出席できないときに、心配する国もあるかもしれない。だが物事を真剣に考える人の中で、アジア太平洋地域への関与に対する米国の決意あるいは現政権の取り組みを疑う人はほとんどいない。

  米国が今後もアジア重視を続けられるか疑問に思う者がいるかもしれないが、私が知っているアジアのいかなる国の首脳も、米国のイノベーションと起業家精神を求めており、うらやましいとは思わないまでも、興奮して米国のエネルギー革命を見つめている。地域における米国のプレゼンスがこれほど歓迎されたことはこれまでにないし、これ以上に重要だったことはたとえあったとしても、非常にまれである。

  結論として、米国にとって2014年は、われわれの将来と世界の成長にとってますます重要となっているアジア太平洋地域への集中的な関与と投資を十分に生かす年になる。