月は誰のもの? 人類全てのもの

*この日本語文書は国務省の国際情報プログラム課により運営されているウェブサイト「シェアアメリカ(ShareAmerica)」に2014年10月10日に掲載された記事参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

 宇宙空間には核兵器は存在せず、月には軍事基地もない。どの国も全人類の利益になるよう宇宙探査を自由に行うことができる。この礎となっているのが1967年10月10日に発効した宇宙条約だ。


国際宇宙ステーションは宇宙探査での協力を呼びかけた宇宙条約の賜物 (NASA)

 宇宙条約が合意されたのは米国と旧ソビエト連邦との冷戦の真っ只中。米ソは、人類の月そして宇宙進出を見通し、目先の利益による軍事競争や国家間の争いを防ぎたいと望んでいた。条約では宇宙を人類が共有する新天地と定義し、その探査は国際協力のための手段であるべきと定めている。現在、102カ国が条約を批准、調印済み未批准国は27カ国となっている。

 宇宙条約では、宇宙空間の非軍事化や全ての国による宇宙探査権の保持だけでなく、次のことも定めている。

  • 国家は宇宙空間の領有権を主張できない。
  • 月およびその他天体は平和利用のみを目的とする。
  • 宇宙飛行士は全人類を代表した使節である。
  • 各国は、宇宙で実施される自国の活動について、その活動が政府、非政府機関のいずれによるものかにかかわらず、責任を負う。
  • 各国は、自国が宇宙空間に発射した物体により生じた損害の責任を負う。
  • 各国は宇宙および天体に対する有害な汚染を避けなければならない。


インドの火星探査機のポスターを掲げる同国の学生たち。火星の画像が探査機から地球に送られてくる (AP Images)

 宇宙条約の重要性を示す代表例が、国際宇宙ステーション(ISS)だ。ここには14年近くの間、常に人間が駐在しており、訪れた宇宙飛行士の出身国は15カ国にのぼる。また、火星探査の国際的な取り組みも例としてあげられる。

掲載 2014年11月4日