見えるけれど、話を聞いてはもらえない―耳の不自由な人たちの話を記録

エリン・ハレルソン

エリン・ハレルソン

*この日本語文書は国務省の国際情報プログラム課により運営されているウェブサイト「シェアアメリカ(ShareAmerica)」に掲載された記事の参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

2014年11月12日

 エリン・ハレルソンを紹介しよう。人類学を学ぶ学生で、フルブライト・ナショナルジオグラフィック特別研究員でもある彼女は、耳の不自由なカンボジア人の経験を記録している。カンボジア人の20人に1人は、耳が不自由か聞こえにくい。そしてその多くが手話を学んだことがない、あるいは学校に行ったことがない。

 だからカンボジア人の多くがハレルソンに会うと驚く。彼女自身も耳が不自由だからだ。

 「今までに耳の不自由な研究者に会ったことは一度もない!」というのがカンボジア人共通の反応である。ハレルソンは、相手の唇の動きを見てその言葉を理解できるが、彼女の真正面にいない人は、ハレルソンが彼らの話に反応しない時、なぜしないのか不思議に思うことがよくあるそうだ。「私が話しかけたのに彼女は私の方を見もしない、何の反応も示さない」という感情を持つようだ。

 しかしハレルソンは、1つの障害が彼女の素晴らしい才能を狭めてはいないことを人々に示している。

 世界で10億人以上―総人口の約15%―に障害がある中で、ハレルソンの研究は行われている。その多くが、健常者に与えられる機会を同じように受けることはない。

  • 開発途上国で障害のある子供の90%は学校に行っていない。
  • 健常者の成人の就業率が78%であるのに対し、障害のある成人で仕事に就いている人は35%にすぎない。
  • 障害のある人は、暴力や性的暴行の被害者になる傾向が高い。

  ハレルソンは、ポル・ポト政権が大量虐殺を行う前とその最中に、カンボジアで耳が不自由な人たちがどのように扱われたかを調査している。また、まだ開発段階のカンボジアの手話をカンボジア人が学ぶ状況を追跡している。

   米国は、障害者の権利は人権であると認め、障害のある人たちを対象にした支援プログラムを策定する。

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掲載 2014年11月28日