移民政策に関するオバマ大統領の演説

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。この仮翻訳は11月22日に発表されたオバマ大統領のウイークリーアドレスを翻訳したもので、実際のスピーチは11月21日にネバダ州ラスベガスのデル・ソル高校で行われました。

2014年11月22日

  米国は移民国家だ。その事実は他国に比べて常に米国の大きな利点となってきた。そのおかげで米国は若々しさ、活力、起業家精神を保つことができる。しかし現在の米国の移民制度には破綻しており、誰もがそのことを知っている。

  だから約2年前、私は本校で、移民制度改革の原則について説明した。その5カ月後、上院では、民主党議員、共和党議員、そして無所属議員が歩み寄り、良識ある法案を通過させた。この法案は国境を守ると同時に、すでに米国で居住している不法移民が、罰金を払って納税を始め、移民登録申請者の順番待ちリストに加われば、彼らに市民権を得る道を開くものとなるはずであった。独立した専門家たちは、この法案が経済を成長させ赤字を削減させると述べた。

  下院でこの種の法案の採決が行われていれば、民主、共和両党の支持を得て可決されたはずだ。そして今では法律となっていたであろう。しかしこの1年半、下院の共和党指導者たちはこの簡単な採決を行うことを拒否してきた。私は今でもこの問題を解決する最善の方法は、両党が協力してこのような超党派法案を成立させることだと信じている。しかしそれが実現するまで、大統領として私に与えられている法的権限に基づき実施できる措置がある。私以前の民主、共和両党の大統領が取ったものと同じような措置であり、米国の移民制度をより公平かつ公正にする措置である。

  今週、私はその措置を取った。我々は国境により多くの人員、設備を投入して、取締官による不法入国の阻止とすでに不法入国してしまった者の送還を支援している。安全保障の脅威となる者を重点的に取り締まる。安全保障の脅威となる者とは凶悪犯であり、家族ではない。犯罪者であり、子供ではない。我々はまた、隠れている不法移民を公の場に導いて、彼らが規則に従い、払うべき税金を全納し、犯歴照会を受けて問題なしと判定され、法律を順守できるようにする。

  今回取った措置は決して、最近米国に入国した者や将来米国への不法入国を試みる者の利益となるものではない。市民権をや永住権を認めるものでもなく、市民が受けるのと同じ利益を提供することもない。また批評家が何度主張しようと、恩赦でもない。むしろ現行の移民制度の方が恩赦に近い。なぜなら多くの者が税金を払わず、規則に従わずに米国で生活しているからだ。私が今週取った措置により、ようやくその不正が正される。

  皆さんはすでに聞いていると思うが、連邦議員の中には、移民制度を改善する私の権限に疑問を持つ方もいる。それに対して私が言うことは1つ。「法案を可決しなさい」だ。私が法案に署名して法律となれば、この問題解決のために今週私が取った措置は不要となる。

  一方で、1つの問題について一致しなかったからといって、他のあらゆる問題についても決裂することは避けなければならない。それでは我々の民主主義が正しく機能していないことになる。この議論には、通常の政治的駆け引きの対象になる以上の価値がある。我々の将来にとって重要である。これは我々がどうあるべきか、そして我々が築く将来に関する問題である。

  我々が今ここいるのは、この国が我々の祖先を迎え入れ、米国人であるということには、外見や出自以上の意味があると教えてくれたからにほかならない。我々が米国人たるゆえんは、我々は皆、生まれながらにして平等であり、自分が望む人生を送る機会を与えられているという理念を守る責任を共有していることである。それこそ我々が受け継いだ国であり、これを将来の世代に引き継がなければならない。

  ありがとう。米国民に神のご加護を。良い週末を。