インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話
第7回局長級会合に係る共同記者発表
2016年3月2日
2016年2月25日及び26日の2日間にわたり、日米両国は、東京において、インターネットエコノミーに関する日米政策協力対話第7回局長級会合を開催した。
両国の参加者は、民間からの代表者の参加を得たセッションを含むこの対話において、Internet of Things (IoT)、ビッグデータ分析、スマートシティのような最先端技術が普及し、イノベーションとサービス提供のためのパーソナル・データの利活用とプライバシー保護が共に促進され、サイバーセキュリティ上のリスクに関する意識啓発が広く利用可能となり、情報通信技術(ICT)を通じた地球規模課題の解決が全ての関係者によって追求される、ネットワークによって接続された社会の展望について議論を行った。
特に、両国は、本年日本において5月26日及び27日に行われるG7伊勢志摩サミット及び4月29日及び30日に行われるG7香川・高松情報通信大臣会合を始めとする関係閣僚級会合や国際的な議論の場に向けて、インターネットの将来において重要な政策課題における緊密な二国間調整や国際協調が、継続的な情報の自由な流通を確保し、グローバルなインターネットエコノミーを更に発展させる上で不可欠である点を共有した。
加えて両国は、日本経済団体連合会及び在日米国商工会議所からなる日米両国の民間の代表から「日米IED民間作業部会共同声明2016」が提出されたことを歓迎した。共同声明は、インターネットエコノミーが引き続き世界経済の成長のけん引役であるためには、国境を越えたデータの自由な流通が不可欠であるとし、リスクを管理し個人情報を保護すると同時に、データの自由な流通の促進に関する国際議論を両国が先導し、官民及び他の関係者による国際連携を推進することの重要性を強調した。
両国は、民間関係者に対し、マルチステークホルダーシステムを通じ、両政府との協調及び本対話への民間関係者による継続的参加を要請した。
議論は以下の事項について重点的に行われた。
- Internet of Things (IoT)とスマートシティ
両国は、IoTやスマートシティのような最先端技術がより一層普及することに伴う将来の展望や課題について意見交換を行った。日本は、日本のIoT推進コンソーシアムやIoTに関する研究開発政策及び具体的なプロジェクトに関する情報を共有した。米国は、米国のIoT政策及びGlobal City Teams Challenge(GCTC)に関する情報を共有した。両国は、これらに関する協力を進めることの重要性を認識した。
両国は、日本の情報通信研究機構(NICT)と米国の国立科学財団(NSF)が主導する新世代ネットワーク分野における共同研究開発協力の進展を歓迎する。また、両国は新たなプロジェクトを進めるための議論を継続することを確認し、日米共同研究開発協力を深める意図があることを宣言した。 - 国際協調と情報の自由な流通の確保
両国は、G7、G20、OECD、APEC、フリーダム・オンライン連合、ITU、WSIS、ICANN、インターネット・ガバナンス・フォーラムといった国際的な議論の場において、世界のインターネットに関する政策についての議論において引き続き緊密に協調していくことを決意した。特に、両国はG7伊勢志摩サミット及びG7香川・高松情報通信大臣会合に向けた準備において協力することを確認した。
特に、両国は、昨年12月にニューヨークで開催された国連総会WSIS+10ハイレベル会合において採択された成果文書において、インターネットガバナンスにおけるマルチステークホルダーアプローチが再確認されたことを歓迎した。
また、情報の自由な流通を阻害するおそれのあるデータの囲い込み及び国境を越えたデータの流通の制限、サイバーセキュリティを名目にした過度な規制行動のようなデータ流通への過度の制限並びに営業上の秘密その他の企業秘密に係る情報を含むICTにより可能となる知的財産の窃取に対し、両国が第三国との協議並びに地域的及びグローバルレベルにおいて緊密に協調して対応していくことの重要性を強調した。 - ICTを通じた国際的課題への取組
両国は、インターネットがもたらす経済的及び社会的恩恵を人々が享受できる環境を整えることが、投資の促進、イノベーション創出、持続的な経済成長、及び格差是正に貢献し、ひいては世界繁栄に寄与するという認識を共有した。
両国はまた、世界のインターネット接続性を強化していくことは、日米で緊密に協力できる重要な分野であるという見解を共有した。
これに関連して日本はデジタルデバイドを解消することを目的とした米国のグローバル・コネクト・イニシアチブを歓迎し、米国は日本の質の高いICTインフラの取組の概要を歓迎した。両国は、情報通信技術革新の恩恵を発展のために最大限に活用することが不可欠であることを確認し、実施可能な取組を模索していく。 - パーソナル・データの利活用とプライバシー保護
両国は、データの新たな利活用がイノベーションを促進し、経済成長の源泉となるという認識を共有した。データ分析の果実を享受するためには、パーソナル・データを含めたデータの越境流通の実現が不可欠である。両国は個人データ及びプライバシー保護に向けて、国際環境におけるデータの利活用について意見交換を継続することを確認した。
また、両国は日本における個人情報保護法改正を始めとするプライバシー保護政策について意見交換した。両国は、APEC越境プライバシールール(CBPR)システムの活用に向けた両国の取組を高く評価し、このルールへの国及び民間企業双方の参加を広げるように取り組むコミットメントを確認した。 - サイバーセキュリティ
両国は、最近のサイバーセキュリティ政策のアップデート事項について議論し、産業界及び他の関係者と共同してサイバーセキュリティ上の課題に取り組むことが不可欠であるとの認識を共有し、自由で、安全な、相互運用可能かつ信頼できるサイバー空間を追求し続けることを確認した。 - 5G
両国は、5G(第5世代移動通信システム)分野における政策及び研究開発プロジェクトについて意見交換し、5Gが携帯電話の帯域幅の拡大と処理能力の向上をもたらす次のステップとなるとの認識を共有した。両国は産業界が牽引する技術規格の策定と電波の効率的な管理に向けた国際協力の重要性について認識を共有し、この分野において意見交換を継続する意図を表明した。
参加者:
日本側は、総務省山田真貴子情報通信国際戦略局長、外務省水嶋光一サイバー政策担当大使及び経済産業省竹内芳明商務情報政策局審議官並びに総務省、外務省、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室、内閣サイバーセキュリティセンター、経済産業省及び個人情報保護委員会事務局の代表が参加し、米国側は、国務省ダニエル・セプルヴェダ大使及び商務省ホーリー・ヴィンヤード筆頭次官補代理並びに国務省、商務省及び米国連邦通信委員会の代表が参加した。また、日本経済団体連合会及び在日米国商工会議所の代表を含む、日米両国の産業界の代表が議論の一部に参加した。