2015年国別人権報告書―日本に関する部分

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

米国国務省民主主義・人権・労働局

2016年4月13日

エグゼクティブ・サマリー

 日本は、議院内閣制を採用する立憲君主制国家である。2012年、自由民主党の安倍晋三総裁が首相に就任した。2014年12月に実施された衆議院議員選挙は、自由かつ公正とみなされた。文民当局は治安部隊に対する実効的な支配を維持した。

 主な人権問題には、起訴前の被勾留者に対する適正手続きの欠如、刑務所および収容施設の劣悪な状況があった。

 他にも根強く残る人権問題として、庇護希望者の収容、女性に対する配偶者からの暴力、セクハラ(性的嫌がらせ)および職場での差別、外国人実習生労働者の搾取を含む人身取引、子どもの搾取、マイノリティー・グループ、先住民、レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・インターセックス(LGBTI)の人々、および障害者に対する社会的差別などがあった。

 政府は人権侵害を禁止する法律を執行し、侵害行為を行った政府職員を訴追した。

第1部 個人の人格の尊重(以下の状況からの自由)

a. 恣意的または違法な人命のはく奪

 政府またはその職員による、恣意的、または違法な人命のはく奪は報告されなかった。

b. 失跡

 政治的動機に基づく失跡の報告はなかった。

c. 拷問およびその他の残酷、非人道的、または屈辱を与えるような処遇または処罰

 法律はこのような行為を禁止しており、知られている限りでは、政府職員がこうした行為を行ったという報告はなかった。

 2014年11月に東京入国管理局で退去強制手続き中に死亡したスリランカ人男性の死に関する捜査が継続して行なわれた。この男性は収容施設の居室で倒れた後、入管職員が救命措置を施し、救急車を呼んだが、病院で死亡が確認された。

 日本政府は依然として、死刑囚に対し、死刑執行日に関する情報を事前に提供せず、死刑囚の親族に対しては、死刑執行後、その事実を告知した。政府は、この方針は受刑者に自分の死期を知る苦しみを与えないものであると考えた。 権威ある心理学者の中にはこの論理を支持する者もいたが、異議を唱える者もいた。

 自衛隊では、しごき、いじめ、体罰、セクハラが継続した。防衛省は2014年4月から2015年3月までに、部下に恣意的な制裁を加えたとして47人の自衛隊員を懲戒処分にしたと報告した。3月、横浜簡易裁判所は、同級生に暴行した防衛大学校の3人の学生に罰金を科した。6月、同裁判所は、部下への暴行および器物損壊を行なった海上自衛隊員に罰金を科した。8月、陸上自衛隊高等工科学校の18歳の元生徒は、いじめを受けたとして、政府および元同級生に対して損害賠償を求める訴訟を起こした。これらの事案を受け、防衛省は9月、このようないじめ、しごきへ対処する指針を発表した。

刑務所および収容施設の状況

 刑務所の状況は、全般的に国際基準に合致したものであったが、いくつかの施設では医療体制が不十分で、冬季の暖房または夏季の冷房の不備があった。

物理的な状況

 全国の被収容者数は2014年末時点で6万486人で、施設の収容可能人数である9万536人を大幅に下回ったものの、77カ所の刑務所うち4カ所は定員超過だったと法務省は報告した。当局は、刑務所や通常の収容施設では20歳未満の未成年者を成人とは別に収容したが、入国者収容施設では未成年者を成人と別の施設に収容することを義務付ける規定はない。

 7月31日、和歌山市の刑事収容施設で男性の被収容者が熱中症で死亡したと広く報道された。報道機関は、死亡原因として空調設備の不備が疑われるとした。報道によると、法務省は8月、全国の矯正施設に対して、高温の環境での高齢者や病人の収容を最小限にとどめ、かつ体調の悪い被収容者に対して直ちに医療処置を施すよう通知を出した。

 国内の非政府組織(NGO)によると、ほとんどの施設では、暖房の代わりに衣類や毛布が追加して与えられたが、受刑者を寒さから守るには不十分だった。東京の外国人受刑者は引き続き、寒さに長期間さらされたためにさまざまな程度のしもやけができた手足の指を見せた。

 この分野の専門家は、医療処置が不十分であった事例を文書に記録し、その中には既存の疾患がある被勾留者や受刑者も含まれていた。法務省によると、4月時点で、矯正医官の数は20%以上定員割れしていた。警察および刑務所では特に精神疾患の治療が遅く、精神科の治療を提供するための手続きがなかった。外国の専門家はまた、歯科治療は最低限のものしか提供されず、緩和ケアが行われていないと指摘した。外国の専門家は、精神疾患を患う被勾留者について、裁判が無期限に延期されることもあると指摘した。NGO、弁護士、医師は、警察が管理する留置場ならびに入国者収容施設における医療体制も引き続き批判した。

管理

 信頼できるNGOは、刑務所の管理部門が単独室の使用を減らし、期間を最長3カ月に設定したが、必要と認められる場合には1カ月ごとの更新が可能であったと報告した。

 死刑囚は、通常、死刑執行まで単独室に収容される。当局は、死刑囚への親族、弁護士、およびそれ以外の人々による面会を認めている。単独室収容期間は事例によって異なる。ある事例では、判決から6年2カ月後に死刑が執行された。あるNGO関係者によると、死刑に相当する犯罪で訴えられた受刑者は、裁判前も単独室に収容されていた。2014年3月、当局は、ある死刑囚を48年ぶりに釈放した。このうち30年間は単独室での収容であった。裁判所は、有罪判決に用いられた証拠を捜査機関がねつ造した可能性があると判断した。

 当局は受刑者と被勾留者が検閲を受けることなく司法当局に苦情を申し出、問題があると主張する状況の調査を要求することを認めていたが、調査結果については、最終結論以外の詳細がほとんど書かれていない書簡を受刑者に送っただけだった。NGOによると、受刑者の信書による苦情申し出を不許とした刑務所の決定を、法務大臣が不適当であると判断した事例が1件あった。刑務所を監察する行政監察官は存在しなかったが、独立性を持つ委員会(「独立した監督」を参照)がその役割を果たした。

独立した監督

 政府は全般的に、NGOおよび国際機関による視察を許可した。

 刑事収容施設法令では、法務省が管理する刑務所および拘置所と警察が管理する留置場を、独立性を持つ委員会が視察する旨、規定されている。当局は、医師、弁護士、地方自治体職員、地域住民で構成される委員会が、刑務官の立ち会いなく被収容者と面接することを認めた。3月までの1年間にこれらの委員会が実施した視察は191件、被収容者との面接は526件、提出した意見は575件だった。提出された意見のうち、職員が提案に基づいて対策を講じた、あるいは講じることを約束したものは396件だった。

 法律により、入国者収容施設についても第三者による視察委員会が視察を行なった。2014年7月から2015年3月までに、これらの委員会が実施した視察は13件、被収容者との面接は92件、提出した意見は47件だった。提出された意見に対し、収容施設が措置を講じたものは29件、措置を検討中だったものは12件だった。委員会が提出した肯定的な意見は5件だった。

 国内外のNGOおよび国際機関は、この手続きが刑務所の視察にかかる国際的な基準を満たしていないと引き続き指摘した。その理由として、法務省が視察委員会の全支援業務を担当していること、被収容者との面接時に法務省の通訳を使うこと、委員会の構成が透明性に欠けていることを挙げた。また、委員会が被収容者との面接を視察するたびに実施していなかったとも主張した。入国者収容施設の管理者は、通訳は法務省ではなく民間人であると指摘し、視察委員会が完全な独立性を持ち、視察を実施する権利を有することを確認した。

改善点

 政府は8月27日、刑務所および拘置所を含む矯正施設に勤務する医師不足の解消に取り組む法律を制定した。政府は6月1日、20歳未満の少年犯罪者や非行少年を対象とした少年院および少年鑑別所を管轄する視察委員会を設置する2つの法律を施行した。法律により、法務大臣には、視察委員会がこれら施設の運営に関する意見を提出した後、自らの調査結果および施設長により実施された対応策を公表することが義務付けられている。

d. 恣意的逮捕または留置・勾留

 法律により恣意的逮捕や留置・勾留は禁止されているが、信頼できるNGOとジャーナリストは引き続き、大都市の警察が人種プロファイリングを用い、「外国人のように見える」人、特に肌が浅黒いアジア人やアフリカ系の人に理由なく嫌がらせをし、時には逮捕することもあったと主張した。

警察および治安維持機構の役割

 国務大臣がその長を務める政府機関である国家公安委員会が警察庁を管理し、都道府県公安委員会が都道府県警察を管理する。政府は権利の乱用および汚職を捜査し、処罰する効果的な制度を有していた。2015年には、治安部隊に関係する刑事免責の報告はなかった。一部のNGOは依然として、都道府県の公安委員会が警察機関からの独立性に欠けている、または警察機関に対する十分な権限を持たないと批判した。

逮捕手続きと被拘禁者の処遇

 当局は、正当な権限を持つ当局者が証拠に基づいて発付した令状により公に個人を逮捕し、被拘禁者を独立した司法制度の下で裁いた。この分野の外国の専門家は、令状は高い頻度で発付され、証拠の根拠が薄弱であるにもかかわらず留置・勾留が行われることがあるほか、複数回にわたる被疑者の再逮捕が、警察の立件を容易にするために使われたと、引き続き主張した。

 警察の管理する留置場を使用することで、被疑者は取調官の監督下に置かれた。警察は逮捕された被疑者の大部分を警察の留置場に送った。

 法律により、被拘禁者には、その留置・勾留の合法性に関する迅速な司法決定を受ける権利が与えられており、当局は被拘禁者に対して、直ちに容疑を告知しなければならない。

 法律により、当局は起訴することなく、最長23日間にわたり被疑者の身柄を拘束することができる。

 法律により、被勾留者、その親族、または代理人は、裁判所に対して、起訴された被勾留者の保釈を請求することができる。起訴前の保釈は認められていない。信頼できるNGOは、不正行為ではあるが、取調官が被勾留者に対し、自白と引き換えに刑期の短縮や執行猶予を申し出ることもあったと述べた。

 起訴前に勾留されている被疑者は、取り調べを受けることが法的に義務付けられている。警察庁の指針により、取り調べ時間は1日最長8時間に制限され、夜通しの取り調べは禁止されている。起訴前の被勾留者は、国選弁護人との少なくとも1回の接見を含め、弁護人と接見することができた。しかし、取り調べ中に弁護人が同席することは認められていない。

 法律により、被疑者が逃亡する、あるいは証拠を隠匿または隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合、警察は被勾留者が弁護人以外の人物と面会することを禁止できる(「起訴前の勾留」を参照)。薬物犯罪の容疑をかけられている被勾留者の大半を含む、多くの被勾留者は、起訴前までこの制約を受けたが、収容施設職員立ち会いのもと親族からの面会を許可された者もいた。犯罪の種類と、当局が親族やその他の者による被勾留者への面会を拒否できる期間との間には法律上の関連性はない。しかし、薬物犯罪の容疑をかけられている被勾留者については、検察官が、親族やその他の者との接触が取り調べの妨げになると考え、他の被疑者と比べ長い間、面会を拒否する場合が多かった。

 国家公安委員会の規則は、警察官が被疑者に接触すること(やむをえない場合を除く)、物理的な力を行使すること、脅迫すること、被疑者に長時間一定の姿勢を取らせること、言葉で虐待すること、自白を引き出すために被疑者に好ましい申し出をすることを禁止している。法務省はこのような事例があったことを否定しているものの、信頼できるNGOは、当局がこの規則を適切に執行せず、極端な事例では、依然として被勾留者に対し8時間から12時間に及ぶ取り調べを行い、その間ずっと被勾留者を手錠で椅子につないだままにし、強引な尋問方法を用いたと主張した。NGOはまた、物理的な力の行使は一般的に減少しているが、当局は自白を引き出すために心理的に威圧感を与える手法を引き続き用いていると指摘した。

 検察官は取り調べ中、自己裁量で被疑者の自白を一部録音・録画することができる。最も一般的な録音・録画方法は読み聞かせで、警察官が被勾留者の自白を復唱、または口頭で要約するのを録音・録画する。当局は選択して録音・録画を編集するため、自白や、警察による口頭での自白の要約という結果に至る場合が多いと報告される、心理的に威圧感を与える手法を、裁判所は確認できないかもしれない。検察庁および警察が取り調べの全過程を録音・録画することが増えたが、録音・録画は義務ではない。警察内部の監督官が取り調べに同席することが増える一方で、独立した監督は行われず、強制的に自白させられたという申し立てが続いた。

 警察庁は、2014年に取り調べに関する苦情を459件受け、31 件について取り調べにかかる指針に対する違反行為を確認したと発表した。警察の監察部門は一部の違反者を懲戒処分としたが、警察庁は関連する統計を公表しなかった。アムネスティ・インターナショナルは、取り調べ全体の電子的な録音・録画の導入、および弁護人が立ち会わない取り調べの禁止などの改革を求めた。

起訴前の勾留

 当局は通常、逮捕から72時間まで、警察が運営する留置場に被疑者の身柄を拘束した。法律では、起訴前の勾留は、ある人物が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があり、かつ証拠の隠匿もしくは隠滅、または逃亡のおそれがある場合に限られるが、これは習慣的に行われていた。裁判官は逮捕から72時間が経過する時点で被疑者を面接した後、起訴前の勾留期間を10日間ずつ、最長20日間まで延長できる。検察官はこの延長を習慣的に請求し、許可を得た。暴動、外国からの侵略、暴力的な集会などの例外的な事案の場合、検察官はさらに5日間の延長を請求できる。

 裁判官は習慣的に検察官の勾留延長請求を認めるため、「代用監獄」として知られる起訴前の勾留は通常23日間続いた。2015年の被勾留者のほとんど全ては、代用監獄に勾留された。信頼できるNGOおよびこの分野の外国の専門家は依然として、起訴前の被勾留者が最長23日間勾留されることが日常的であり、その間弁護人、あるいは被勾留者が外国人の場合は自国の領事以外との面会が許されなかったと報告した。

受け入れを拒否された庇護希望者または無国籍者の長期的収容

 信頼できるNGOは、庇護希望者などの非正規移住者を長期間収容するという政策が依然として問題であると指摘した。NGOは、申請手続きを簡素化して申請者の収容期間を短縮する法務省の継続的な取り組みにより改善が見られたと述べた。

e. 公正な公開裁判の拒否

 法律により、独立した司法制度が規定されており、日本政府は、全般的に司法の独立性を尊重した。

審理手続き

 法律により、全ての国民に公正な裁判を受ける権利が与えられている。起訴された個人はそれぞれ、遅滞なく独立した裁判所で公開裁判を受ける権利を有し、貧困にある場合に提供される国選弁護人を含め、弁護人を得ることができ、反対尋問の権利が与えられている。重大な刑事事件に関しては裁判員制度が置かれており、被告は自己に不利益な供述を強要されない。被告は容疑について速やかに、詳細な情報を得る権利を与えられている。刑事事件の被告が外国人である場合は、当局が、無償の通訳サービスを提供した。民事事件で被告となった外国人は、通訳費用を負担しなければならないが、裁判官は裁判所の判決を踏まえ、その費用の支払いを原告に命じることができる。

 被告は、有罪と証明されるまで推定無罪とみなされるが、権威あるNGOおよび法律家は、実際に被告が推定無罪とみなされているかどうかについて、引き続き疑問を呈した。日本政府は、主に自白に基づいて有罪判決が下されているのではないこと、および取り調べに関する指針は被疑者が罪の自白を強要されない旨を規定していると引き続き主張したが、NGOによると、起訴された被勾留者の大半は、警察に勾留されている間に自白した。

 2014年に裁判所が審理した刑事事件の被告人数は約33万7000人であり、無罪判決が下った被疑者は116人であった。その結果、有罪判決の割合は99.9%を超えた。裁判所はまた、319件について公訴棄却とした。独立した立場の法律学者は、日本の司法は自白を重視しすぎると主張したが、日本政府はこれに異議を唱えた。

 被告は弁護の準備、証拠の提示、および上訴のため、自らの弁護人を選任する権利を与えられている。裁判所は弁護士会を通じて、被告による弁護人の選任を支援することができる。弁護人費用を負担できない場合、被告は国選弁護人を要求できる。

 一部の独立した立場の法律学者によると、審理手続きは検察側に有利となっている。法律により、弁護人との接見が認められているにもかかわらず、かなりの数の被告が、弁護人との接見不足を報告した。法律では、被告側の弁護人が開示手続きに関する厳しい条件を満たすことができる場合を除いて、検察官による資料の全面開示を義務付けていない。このため、検察側が裁判で使用しなかった資料が隠されることもあった。

政治囚と政治的被拘禁者

 政治囚または政治的被拘禁者が存在するとの報告はなかった。

民事司法手続きと救済

 民事事件に関しては、独立した公正な司法制度がある。個人は、人権侵害に対する損害賠償、あるいは人権侵害の中止を求める訴訟を起こすことができる。不正行為の申し立てに対しては、行政による救済措置と司法による救済措置の両方がある。

f. プライバシー、家族、家庭、または信書に対する恣意的な干渉

 法律により上記のような行動は禁止されており、実際に日本政府は、全般的にこれを順守した。

第2部 市民の自由の尊重

a. 言論と報道の自由

 憲法により言論と報道の自由が規定されており、日本政府は、全般的にこうした権利を尊重した。独立した報道機関、効果的な司法制度、および機能する民主的政治制度が相まって、言論と報道の自由を促進した。

検閲または内容の制限

 報道機関は、制限を受けることなく、さまざまな意見を表明した。一部のNGOは、記者クラブ制度により、報道関係者、政府職員および政治家の間に緊密な関係が築かれ、自己検閲や似たような報道が助長されたと、引き続き批判した。

インターネットの自由

 政府はインターネットへのアクセス制限や介入、またはオンライン上のコンテンツの検閲を行わなかった。また政府が適切な法的権限なく、個人的なオンライン通信を監視したとの信頼できる報告もなかった。インターネットは広く利用可能であり、かつ利用された。

学問の自由と文化的行事

 文部科学省による歴史教科書検定は、特に日本の20世紀の植民地支配および軍事に関する歴史の扱いについて、論争になった。

 国歌と国旗は、論議の的となる象徴であった。行政は、国旗掲揚時に起立し、国歌を斉唱することを拒否した公立学校の教員を戒告処分とした。

 政府が文化的行事を制限することはなかった。

b. 平和的な集会および結社の自由

 法律により集会と結社の自由が規定されており、日本政府は、全般的にこれらの権利を尊重した。

c. 信仰の自由

 国務省の「信仰の自由に関する国際報告書」を参照。

d. 移動の自由、国内避難民、難民保護および無国籍者

 法律により、国内の移動、外国旅行、移住、本国帰還の自由が規定されており、日本政府は、全般的にこれらの権利を尊重した。日本政府は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)およびその他の人道支援組織と協力して、国内避難民、難民、庇護申請者、無国籍者、およびその他の関係者に保護と援助を行った。

国内避難民

 2011年の地震、津波および福島第一原子力発電所の事故の後、政府は全般的に、避難所およびその他の保護サービスを十分に提供するとともに、移住または再建の選択肢を提供しようと努めた。復興庁の統計によれば、8月1日時点で、避難者数はおよそ23万人で、2014年から4万人減少した。

難民の保護

庇護へのアクセス

 法律は、庇護の付与あるいは難民の認定を規定しており、日本政府は既に国内に居住する難民を保護する制度を確立している。2013年3月、政府は、国連第三国定住プログラムに参加するビルマ難民の選考基準を緩和した。

 2014年の難民認定申請者は5000人で、日本が難民認定を開始して以降、最多となった。当局が難民認定した数は11人だった。

 難民と庇護申請者は、難民審査参与員制度の下での審問への参加を弁護士に依頼することができる。法的支援を求める多くの難民および庇護希望者は、政府の援助による法的支援を受けることができなかったが、日本弁護士連合会が、金銭的な余裕がない申請者に対して無償で法律支援を行うプログラムに、引き続き資金を提供した。

 政府、日本弁護士連合会、およびNGO「なんみんフォーラム」は、成田空港に到着し、仮上陸または仮滞在の許可を得た難民認定申請者に対し、住居、社会福祉および法的サービスを提供する試験的プロジェクトを延長した。

ルフールマンの原則

 政府は、「国連難民の地位に関する条約」および「難民の地位に関する議定書」に従い、生命や自由が脅かされると考えられる国への難民の国外退去あるいは送還を行っていない。庇護申請を判断する際の政府の証拠基準が厳しいという批判を受け、法務省は9月、出身国の紛争から逃れてきた外国人に対して、難民とは認定しないものの、「待避機会」を認めることができる旨を規定する、難民認定および庇護の判断にかかる新たな運用指針を公表した。活動家の中には、政府の基準は国際基準に準じていないと引き続き批判している者もいる。

 2015年にルフールマンの原則が適用される庇護希望者の事案は報告されなかった。

雇用

 難民認定申請者は、有効な短期滞在ビザを所持しない限り、通常就業が認められていない。収入を得る活動に従事するには、ビザの有効期限内に許可を申請しなければならない(資格外活動許可)。許可を得るまでの間、経済的に困難な状況にある一部の申請者に対し、政府が出資する公益財団法人、アジア福祉教育財団の一部門である難民事業本部が、少額の給付金を支給する。

基本的なサービスへのアクセス

 難民は依然として、他の外国人と同様、住居、教育、雇用の機会を制限される差別を受けた。就業する権利を得る条件を満たす人を除き、難民申請が未決、または異議申し立て手続き中の人は、社会福祉を受ける権利がなく、過密状態の政府のシェルターや、労働法の監督対象にならない違法な雇用、またはNGOの援助に頼るしかなかった。

一時的な保護

 政府はまた、難民と認定されない可能性のある個人を一時的に保護した。2014年にこうした保護を受けた人は110人で、2013年より41人減少した。2014年11月の時点で、在日ビルマ・ロヒンギャ協会は、90人のロヒンギャ族について、難民認定は受けていないものの、一時在留許可を与えられたと確認した。

第3部 政治プロセスに参加する自由

 法律により、日本国民には、平等な普通選挙権に基づいた自由かつ公正な選挙を通じて政府を選ぶ能力が与えられており、国民はこの能力を行使した。

選挙と政治参加

最近の選挙

 安倍首相による2014年11月の衆議院の解散を受けて、同年12月に、現政権の監督下で2回目の国政選挙が行われた。この選挙は全般的に自由かつ公正とみなされた。

女性およびマイノリティーの参画

 憲法では、女性が政治プロセスに参加する権利が規定されており、当局はこの権利を保護した。2014年12月の総選挙後、衆議院では475議席中45議席、参議院では242議席中38議席を女性議員が占めた。10月7日の内閣改造後には、19人の閣僚のうち3人が女性となり、また与党・自由民主党の党三役のうち1人が女性であった。10月5日時点で、47の都道府県のうち、女性知事は2人いた。

 民族に基づくマイノリティー・グループの中には複数の民族の血を引いている人や、マイノリティーであることを自ら明らかにしない人もいるため、民族に基づくマイノリティーの中で国会議員となった人の数を把握するのは難しかった。帰化して日本国民となった国会議員が少なくとも2人いた。

第4部 政府の汚職と透明性の欠如

 法律により、公務員による汚職には刑事罰が規定されており、日本政府は全般的に法律を効果的に執行した。公務員は時として汚職に関わることがあった。独立した立場の学識経験者は、政・官・財のつながりは密接であり、汚職は依然として懸念される問題だと述べた。NGOは、退職した政府の幹部職員が、政府との契約に頼る民間企業で高報酬の職を得る慣行が行われていることを引き続き批判した。法務省は、2014年に贈収賄容疑で73人を起訴したと報告し、最高裁判所は2014年に42人に贈収賄で有罪判決を言い渡したと報告した。著名な政治家および公務員が関与した財務会計に関する不祥事の捜査がたびたび報道された。西川公也農林水産大臣は、自らが代表を務める政党支部が政治資金規正法に違反する献金を受け取った疑いを受けたため、2月に大臣職を辞任した。

汚職

 警察庁および国税庁を含む、複数の政府機関が汚職対策に従事している。他にも、公正取引委員会が、談合のような不当な取引制限および不公正な商慣行を防止するため、私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)を執行する。犯罪収益移転防止対策室は、マネーロンダリングおよびテロリストへの資金供与の防止に責任を負う。国家公務員倫理審査会は、倫理規定違反の疑いのある公務員を取り締まる。会計検査院は、政府が主要株主である企業の会計を監査する。汚職対策に従事する機関は全般的に十分な資金を得て独立して効果的に活動を行ったが、一部に要員の不足があった。 

資産公開

 法律により、国会議員には、所得、および不動産、有価証券ならびに交通手段の所有状況を含む資産(ただし普通預金を除く)の公開が義務付けられているが、配偶者および扶養する子の資産、所得または有価証券の取引状況の公開は求められていない。違反した場合の罰則はない。NGOおよび報道機関は、法律が不十分であると批判した。

情報への国民のアクセス

 法律により、一般市民には、政府の情報を入手する法的な権利があり、法律は効果的に執行された。

第5部 人権侵害の疑いに対する国際機関および非政府機関の調査に対する政府の姿勢

 国内外の多くの人権団体は、全般的に、政府による制約を受けずに活動し、人権侵害の事例について調査し、調査結果を公表した。政府関係者は、通常協力的であり、こうした団体の見解に対応した。

政府の人権機関

 法務省の人権相談所が全国315カ所に設置されている。約1万4000人のボランティアが、直接面談して、あるいは電話やインターネットを通じて質問に答え、秘密厳守で相談に応じた。一部の相談所では外国語での相談も可能だった。人権団体はこれらの相談所を独立した、または効果的なものとは考えておらず、国民の信頼を得られていないと報告した。

 国のレベルで独立した行政監察機関そのものは存在しなかったが、総務省の部局である行政評価局の行政相談制度に十分な人員が配置されており、行政監察機関と同じ役割を多く果たした。その局長が、国際的な行政監察機関で日本代表を務めた。全国50カ所の行政相談事務所および約5000人の行政相談委員に加え、19都市のデパートなどに設置された総合行政相談所が、無料かつ秘密厳守で相談を行った。こうした相談の利用は容易だった。

第6部 差別、社会的虐待、人身取引

 法律により、人種、性別、障害、および社会的地位に基づく差別は禁止されているが、言語、性的指向、または性同一性に基づく差別は禁止されていない。政府はこれらの禁止規定をある程度執行したが、女性、マイノリティー・グループ、障害者、LGBTIの人々、および外国人に対する差別の問題は残っていた。さらに、禁止規定の執行には一貫性がなく、障害者に対する一部の規定は、公共部門には適用されるが、民間部門には適用されないと解釈された。

女性

強姦および配偶者からの暴力

 法律により、配偶者間の場合も含め、暴力を用いた女性に対するあらゆる形の強姦が犯罪とされており、政府は全般的に、この法律を効果的に執行した。法律により、強姦者とは「暴行または脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者、または13歳未満の女子を姦淫した者」と定義されている。検察側は、性交を強姦と認めるには、強制力の行使および/または被害者が物理的に抵抗した証拠が必要であると解釈した。

 女性に対する配偶者からの暴力は法律で禁止されているが、依然として深刻な問題であった。2014年1月3日の改正法の施行により、生活の本拠を共にする交際相手、配偶者、元配偶者からの暴力の被害者が、シェルターにおいて保護を受け、裁判所による保護命令を申し立てることが可能になった。

 「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律」は、電子メールによる嫌がらせを禁止している。

 2015年12月28日、日本および韓国の外務大臣は、第2次世界大戦時の「慰安婦」(性的目的のために取引された女性)の処遇ついて、「最終的かつ不可逆的に」取り組む合意に至ったと共同発表した。この発表は、日本の首相の「心からのおわびと反省の気持ち」と、元「慰安婦」支援のために韓国が設立する財団に10億円(830万ドル)を拠出するという日本政府の約束に言及したが、市民社会の一部から批判を受けた。

セクハラ

 法律ではセクハラを犯罪と規定していないが、セクハラ防止を怠った企業を特定する措置が規定されており、都道府県労働局および厚生労働省はこれらの企業に対し、助言、指導、勧告を与えた。政府の指針を順守しない企業名は公表できるが、政府関係者によると、これまでその必要はなかった。しかし、職場におけるセクハラはまだ広範囲に見られた(第7部d.を参照)。

リプロダクティブ・ライツ

 夫婦と個人は、自由に、かつ責任を持って、子どもの数、子どもを持つ間隔と時期を決め、自らのリプロダクティブ・ヘルスを管理し、差別や暴力を受けたり、強制されることなく上記の決定を下すための情報と手段を有する。女性は避妊法と、出産時の熟練した介助、妊婦健診、不可欠な産科治療や分娩後のケアなどの妊産婦医療サービスを利用することができた。

差別

 法律により性差別は禁止され、全般的に女性には男性と同じ権利が与えられている。内閣府の男女共同参画局は引き続き、政策を検討し、その進捗状況を監視した。

 このような政策にもかかわらず、NGOは引き続き、性差別撤廃措置の実施が不十分であるとし、法律における差別的な条項、労働市場での女性に対する不平等な扱い(第7部d.を参照)、選挙で選ばれた高位の議員の中に女性が少ないことを指摘した。NGOは政府に、女性にのみ適用される離婚後6カ月間の再婚禁止規定の廃止、婚姻最低年齢における男女の区別の撤廃、および選択的夫婦別姓制度の採用を要請した。12月、日本の最高裁判所は、6カ月間の再婚禁止期間を違憲とする判決を下したが、夫婦同姓の慣習は支持した。

子ども

出生届

 法律では、子どもの父親が日本人でその子の母親と結婚しているか、子どもを認知している場合、子どもの母親が日本人である場合、または子どもが日本で生まれ、その両親が不明あるいは無国籍の場合に、生まれた子どもに日本国籍を認めている。法律により、国内で生まれた子の場合は14日以内に、国外で生まれた子の場合は3カ月以内にそれぞれ出生届を出すことが義務付けられており、この期限はおおむね順守された。提出期限を過ぎた出生届も受理されたが、罰金が科せられた。

 法律により、出生届に子が嫡出子か非嫡出子かを明記することが義務付けられている。最高裁判所は2013年に、非嫡出子に嫡出子と同等の相続権を認めない民法の規定は違憲であると、裁判官全員一致で判断した。また、離婚成立から300日以内に生まれた子を前夫の子であると推定する別の規定があるため、正確な人数は不明だが、子どもの出生届が出されず無戸籍となる状況が発生した。

児童虐待

 厚生労働省によると、国民の意識が高まったことから、児童虐待の報告件数は増加した。2014年4月から2015年3月までの間に各地の児童相談所が対応した、親あるいは保護者による児童虐待の報告件数は過去最多の8万8931件だった。警察庁によると、2014年1月から12月までの間に、698件の児童虐待の事案で719人の逮捕者が出た。親子心中、保護責任者遺棄致死および親や保護者による虐待などにより死亡した児童は53人だった。

 法律により、児童福祉職員には、虐待する親が子どもと面会すること、あるいは連絡を取ることを禁止することが認められている。また法律により、しつけの名目での虐待が禁じられているほか、疑わしい状況に気づいた者は誰であろうと、各地の児童相談所または地方自治体の福祉事務所に通知することが義務付けられている。状況を改善するため、地方自治体は、児童福祉職員に対し、虐待が疑われる親または保護者を面接し、必要に応じて支援を提供することを義務付けた。警察は、必要に応じて、より多くの警察官を児童相談所へ派遣した。

早婚および強制婚

 法律は、婚姻適齢について、男性は18歳以上、女性は16歳以上と規定している。20歳未満の者は、少なくとも両親のいずれかの同意がなければ結婚できない。

子どもの性的搾取

 児童買春は違法であり、児童買春をした成人は5年以下の懲役もしくは300万円(約2万8300ドル)以下の罰金、あっせん業者は7年以下の懲役および1000万円(9万4300ドル)以下の罰金に処せられる。引き続き行われている「援助交際」や、出会い系、ソーシャル・ネットワーキング、「デリバリー・ヘルス」などのウェブサイトの存在が児童買春およびその他の商業的性産業を助長した。「JK(女子高生)ビジネス」として知られる風潮が、引き続き拡大した。これらの業者には、未成年の少女が接客する飲食店や高校生の年代の少女が雇われているマッサージ店などがある。「JKビジネス」で働く少女を支援するNGOは、これらの事業と児童買春の関連性を報告した。

 法定強姦に関する法律は、同意の有無にかかわらず13歳未満の少女との性交を犯罪としている。法定強姦をした者は3年以上の懲役に処せられ、法律は執行された。加えて、法律や条例は、少年の被害者を含む未成年者の性的虐待について包括的に対処している。

 日本は、児童ポルノの製造および人身取引犯による子どもの搾取の現場であった。2014年、日本は、児童ポルノの単純所持を犯罪とみなし、法の大きな不備を是正した。法の施行は2015年7月15日に開始された。児童ポルノの商用化は違法であり、3年以下の懲役もしくは300万円(約2万8300ドル)以下の罰金に処せられる。警察はこの犯罪の厳重な取り締まりを続けた。警察の報告によれば、2014年の児童ポルノの捜査件数は過去最高の1828件であり、746人の子どもが被害者となった。

 性描写が露骨なアニメ、マンガ、ゲームには暴力的な性的虐待や子どもの強姦を描写するものもあるが、日本の法律は、こうしたアニメ、マンガ、ゲームを自由に入手できるという問題に対処していない。専門家は、子どもに対する性的虐待の描写を容認するような文化が子どもに被害を与えると示唆した。

 国務省の「人身売買報告書」を参照。

国際的な子の奪取

 日本は、1980年に採択された「国際的な子の奪取の民事面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国である。詳細は、「ハーグ条約の順守状況に関する国務省の年次報告書」と、「国別情報」を参照。

反ユダヤ主義

 日本国内のユダヤ人の人口は約2000人である。2015年に、反ユダヤ行為の報告はなかった。

人身取引

 国務省の「人身売買報告書」を参照。

障害者

 障害者基本法により、身体障害者、知覚障害者、知的障害者および精神障害者に対する差別は禁止されており、公共および民間部門における雇用、教育、医療およびその他のサービスの提供に関し、障害を理由とする権利および利益の侵害は禁止されている。法律は、差別を受けた障害者の救済、ならびに違反した場合の罰則を規定していない。

 法律は、公共部門に対し合理的配慮を義務付けるとともに、民間部門に対してはそのように「努める」ことを規定している。障害者の支援団体はこの法律を広く支持した。それにもかかわらず、一部の公共サービスについては障害者の利用が制限された。

 法律は、政府および民間企業に対し、障害者(精神障害者を含む)を一定の比率(2%)以上雇用することを義務付けている。障害者の権利擁護団体は、障害者を雇用するより罰金の支払いを選択する企業もあると主張した(第7部dを参照)。

 公共施設の新たな建設プロジェクトでは、障害者のための設備を整備することがアクセスビリティに関する法律で義務付けられている。政府は、病院、劇場、ホテル、およびその他の公共施設の経営者が、障害者用の設備を改善または設置する場合には、低金利の融資および税制上の優遇措置を認めることができる。

 津波の被害を受けた地域の自治体職員は、復興事業に新たな基準を適用することが認められなかったと主張しているが、この主張は実証されていない。

 統合教育を提供した学校もあったが、障害のある子どもは一般的に特別支援学校に通学した。

 精神衛生の専門家は、精神障害への偏見を軽減し、うつ病やその他の精神疾患は治療可能な、生物学に基づく疾患であることを一般の人々に知らしめる政府の努力が十分になされていないと批判した。

 障害者の虐待は深刻な懸念事項であった。家族、障害者福祉施設職員または雇用者から虐待を受けた障害者は、全国でみられた。

国籍・人種・民族に基づくマイノリティー

 マイノリティーは、その程度はさまざまであるが社会的差別を受けた。

 部落民(封建時代に社会的に疎外された者の子孫)は、政府による差別を受けていないものの、根深い社会的差別の被害者となることが多かった。部落民の権利擁護団体は引き続き、多くの部落民が社会経済的状況の改善を実現したにもかかわらず、雇用、結婚、住居、不動産価値評価の面での差別が横行している状況が続いたと報告した。公式に部落民というレッテルを貼って部落出身者を識別することはもうなかったが、戸籍制度を利用して部落民を識別し、差別的行為を促すことが可能であった。部落民の権利擁護団体は、多くの政府機関も含め、就職希望者の身元調査のため戸籍情報の提出を求める雇用者が、戸籍情報を使って部落出身の就職希望者を識別・差別する可能性がある、と懸念を表明した。

 日本で生まれ、育ち、教育を受けた多くの外国人を含む、日本で永住権を有する外国人は、差別に対する法的な保護措置があるにもかかわらず、住居、教育、医療、および雇用の機会の制限など、さまざまな形で根深い社会的差別を受けた。外国人や、「外国人のように見える」日本国民は、ホテルやレストランなど一般の人々にサービスを提供している民間施設への入場を、時には「外国人お断り」と書かれた看板によって禁じられたと報告した。NGOは、こうした差別が通常あからさまで直接的であったにもかかわらず、政府がそのような制限を禁止する法律を執行していないと訴えた。

 一般的に、永住権を持っていたり、日本に帰化した韓国・朝鮮人を社会が受け入れる状況は引き続き改善された。帰化申請のほとんどは当局により許可されたが、人権擁護団体は、帰化手続きを複雑にする過度の官僚的な障壁や、不透明な許可基準について引き続き抗議した。帰化しないことを選択した韓国・朝鮮人は、市民的および政治的権利の面で困難に直面し、国連人種差別撤廃委員会に対する日本の定期的な報告によれば、住居、教育、その他の給付金の面で頻繁に差別を受けた。2014年12月、最高裁判所は、京都において右翼団体が学童を含む韓国・朝鮮人に対して行ったヘイト・スピーチ(憎悪発言)のデモについて、同団体およびその一部のメンバーに損害賠償の支払いを命じた下級審の判決を支持した。

 極右グループが人種を誹謗(ひぼう)する言葉を用いたことから、ヘイト・スピーチとして報道機関や政治家から非難された。一部の政府高官は、民族集団への嫌がらせが差別を助長するとして公に非難し、国内のあらゆる人の権利を保護することを再度確認した。

 報道およびNGOの報告によれば、インターネット上でのヘイト・スピーチは継続した。2014年、国連人権委員会は、日本の第6回定期報告に対する所見の中で、「韓国・朝鮮人、中国人または部落民といったマイノリティー・グループのメンバーに対する憎悪と差別を扇動する、広範囲に及ぶ人種差別的発言」について懸念を表明し、こうした行為から人々を保護する法律上の保護措置が「不十分である」とした。

 2014年、最高裁判所は、永住外国人は日本国民ではないため、生活保護の受給権を持たないという判断を下した。それにもかかわらず、困窮している永住外国人に対しては、慣例として自治体が生活保護を支給した。最高裁判所の判決後、厚生労働省は、人道上の観点から外国人居住者に対しても引き続き支給が行われることを再確認した。

 旧社会保険庁の通達により、外国人語学教師の場合には、日本人の語学教師と比較し、雇用者による年金と健康保険料の雇用者負担分の支払い回避が可能になっている。雇用者は、外国人について、日本人と異なる契約を用いることができ、裁判所は概ねこの区別について差別には当たらないとした。

先住民

 アイヌは他の全ての国民と同じ権利を享受したが、明らかにアイヌであると識別されると差別を受けた。法律はアイヌ文化の保存を重視しているが、土地の所有権の認定、国会と地方議会での議席の割り当て、過去の政策についての政府の謝罪など、アイヌ団体が要求している条項は含まれていない。政府は国会での審議を経て、アイヌを先住民族として認めた。ただし、この認定には法的効力はなかった。

 「アイヌ民族なんて、いまはもういない」と主張し、アイヌを自認している人々に特権を与えていると、政府の政策を批判した札幌市議会議員が、4月の選挙で落選した。アイヌを自認している人々の所得は、周りの他の日本人と比べて引き続き低かった。

 2012年に結成されたアイヌ民族党は、2012年以降どの選挙にも候補者を擁立していない。

 学術研究に使用されるアイヌの遺骨の取り扱いに関する懸念に対処するため、政府は、身元が特定できないアイヌの遺骨を埋葬する慰霊施設を建設すると発表した。北海道アイヌ協会は政府の計画を歓迎したが、引き続き身元の特定と、子孫あるいは故郷への遺骨の返還を支援するよう要請した。

 アイヌの子孫である3人の日本人が、1931年から1935年にかけて研究目的として杵臼村で掘り起こされた15体の遺骨の返還を求めて、2012年に北海道大学に対して起こした訴訟は、審理を継続した。北海道大学は、長男が家族の墓を管理すると規定した、1930年代の財産管理制度が適用されていたと主張して、遺骨の返還を拒否してきた。原告は政府に対し、生存する民族の子孫の誰に対しても遺骨の返還を可能にする「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に記載された先住民族の集団的権利を認めるよう求めた。原告はまた、先住民族への民法の適用は同化を意味するものであることから認められないと主張した。これは先住民族が裁判所で先住民族の権利を主張した日本で初めての訴訟であった。

 日本政府は琉球民(沖縄と鹿児島県の一部の住民を指す言葉)を先住民族と認定していないが、彼らの独自の文化と歴史を公式に認め、その伝統を保存し尊重する努力をした。

性的指向および性同一性に基づく暴力行為、差別、その他の虐待

 性的指向または性同一性に基づく差別を禁止する法律はない。また、そのような差別に対する罰則もなく、関連する統計も入手できなかった。法律では性行為が男女間の膣性交としてのみ定義付けられていることから、強姦、性交渉およびその他の性交を伴う行為に関する法律は、同性間の性的行為には適用されない。このような定義により、男性を強姦した加害者に対する罰則が軽微になり、同性間の売春に関し法律上の曖昧さが増している。

 LGBTIの人々の権利を擁護するNGOから、組織に対する障害の報告はなかったが、いじめ、嫌がらせ、および暴力行為の報告は何件かあった。LGBTIの人々のに対する偏見が、依然として、差別や虐待を自ら報告する妨げとなっており、また学校でのいじめや暴力に関する調査では、全般的に、関係者の性的指向や性同一性を考慮しなかった。また、広く浸透しているLGBTIに対する社会的偏見により、多くの人が自らの性的指向を公にすることができず、LGBTIの人々の代理人になることが多い弁護士によれば、性的指向を公表するといって依頼人が脅迫された事例が2015年に数件あった。報道機関の自己検閲が要因のひとつとなり、LGBTI問題は広く議論することが依然として妨げられた。

 法律により、性同一性障害の人々が法律上の性別を変更することは可能であるが、これは性同一性障害であると診断を受けた後にのみ認められた。

HIV・エイズ感染者に対する社会的偏見

 HIV・エイズ感染者に対する差別を禁止する法律はないが、拘束力のない厚生労働省のガイドラインには、事業者に対し、HIV感染は解雇あるいは不採用の理由にはならないと明記されている。裁判所は、HIV感染が理由で解雇された個人に損害賠償請求を認めてきた。

 HIV・エイズ感染者に対する差別についての懸念、およびこの疾患に対する偏見により、多くの人がHIV・エイズの感染を公表しなかった。NGOによれば、多くの感染者が解雇されることを恐れて、感染を隠していた。

第7部 労働者の権利

a. 結社の自由と団体交渉権

 法律は、民間部門の労働者が事前認可あるいは過度の要件なしに、組合を結成し、自分が選んだ組合に所属する権利を規定し、ストライキおよび団体交渉を行う権利を保護している。

 公共部門の職員および公共企業体の従業員には、法律により一定の制限が課されている。公共部門の職員にはストライキをする権利がないが、公共部門職員の組合に参加することが許されており、こうした団体が公共部門の雇用者と賃金、労働時間、その他の雇用条件について一括して交渉することができる。消防職員および刑事施設職員には団結権が認められておらず、団体協約を締結する権利を持たない。

 発電および送電、運輸および鉄道、通信、医療および公衆衛生、郵便などの必要不可欠なサービスを提供する部門の労働者は、ストライキをする日の10日前までに当局に通知しなければならない。必要不可欠なサービスの提供に関わる従業員には団体交渉権がない。法律は組合に対する差別を禁止し、組合活動のために解雇された労働者の職場への復帰を規定している。

 日本政府は組合の結成および参加に関する法律を効果的に執行した。違反に対する罰則と取り締まりは、全般的に違反の防止に十分であった。日本政府は組合が活動する権利を保護した。しかし、時に法律違反の事例が見受けられた短期雇用契約の増加は、正規雇用の妨げになり、団結活動を妨げるものであった。

 団体交渉権は民間部門で一般的であったが、一部の企業は、法律の下での従業者の保護を回避するため、法人格の形態を変更して、法律的には雇用者とみなされない持ち株会社制度に移行した。

b. 強制労働の禁止

 法律によりあらゆる形態の強制労働は禁止されている。

 データの入手が可能な最後の年である2014年、労働基準監督署は5件の強制労働の事案を検察庁に送致し、検察庁は刑事手続きを開始した。法律の下での強制労働に対する刑罰は、強制労働の形態、被害者、このような犯罪を訴追する検察官が適用した法律により異なった。一部のNGOは、強制労働に対する法律の定義が狭すぎると主張した。

 当局は、技能実習制度(TITP)の下で発覚した法律違反を処罰するにあたり労働関連法を適用した。TITPは、外国人労働者が日本に入国し、事実上の臨時労働者事業のような形で最長3年間就業することを認める制度である。厚生労働省の労働基準監督官および法務省の現地の入国審査官が、TITPの下で技能実習生を雇用する事業場を監督した。NGOは監督が不十分であると主張した。TITPにおいて企業が規則を順守しない場合の政府の対応として、一例を挙げると、警告および勧告を発出し、企業のTITPへの参加を今後1~5年間禁止することが規定されていた。厚生労働省には、実習生を採用する日本の機関を監督する法的権限がない。厚生労働省は、2014年にTITPの技能実習生労働者を雇用していた3万カ所以上の事業場のうち、懸念される3918カ所を調査し、2977カ所で労働時間、安全基準、割増賃金の支払い、その他の規制に関係する違反を認めた。厚生労働省はこうした雇用者に是正措置を取るよう指導し、措置を怠った26件について検察庁に送致した。

 製造業、建設業および造船業において強制労働の報告が引き続きあった。これは主に、TITPを通じて外国人を雇用している中小企業にみられた。このような職場で働く労働者は、移動の自由およびTITP関係者以外の人物との連絡の制限、賃金の未払い、母国の仲介業者に対する多額の借金、ならびに身分証明書の取り上げを経験した。労働者は時として「強制貯金」も求められたが、こうした貯金は実習の切り上げ、あるいは強制送還の場合には没収された。例えば、報告によると、技能実習生の中には、仕事を得るため自国の出身国で最高100万円(9430ドル)を支払った者もいた。また報告によると、実習生が実習を切り上げようとした場合に、自国で数千ドル相当の没収を義務付けられる契約の下で雇用されていた。こうした両行為は、TITP制度と法律のいずれの下でも違法である。日本に不法入国した労働者やビザの期限が切れたまま不法滞在した労働者は、特に弱い立場におかれた。

 国務省の「人身売買報告書」を参照。

c. 児童就労の禁止と雇用の最低年齢制限

 法律は、就業が認められる最低年齢を規定している。15歳から18歳の子どもは、危険な、あるいは有害と指定される仕事でなければ、いかなる仕事にも従事することができる。13歳から15歳までの子どもは「軽労働」であれば従事でき、13歳未満の子どもでも芸能界であれば働くことができる。

 これらの法律は効果的に執行された。児童就労に関する違法行為に対する罰則には罰金と懲役があり、違法行為の防止に十分なものであった。

 子どもは、商業目的の性的搾取の対象となった(第6部「子ども」を参照)。

d. 雇用および職業に関する差別

 法律は雇用および職業に関し、人種、性別、個人または政治的信条、出身国または国籍、社会的地位または門地、障害、年齢、ハンセン病などの感染症に基づく差別を禁止している。法律は雇用および職業に関し、性的指向および/または性同一性、HIVの感染、あるいは言語に基づく差別を明確に禁止していない。法律はまた、男女平等の同一賃金を義務付けている。法律は、政府および民間企業に対し、障害者(精神障害者を含む)を一定の比率(2%)以上雇用することを義務付けている。

 2014年、男女雇用機会均等法施行規則が改正され、全ての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更に関する「間接差別」をその対象範囲とした。これらの規定を執行する仕組みは全般的に脆弱であった。違反があった場合、厚生労働省は問題について雇用者に報告を求めることができ、また助言、指導、是正勧告を行うことができる。雇用者が厚生労働省の勧告に従わない場合、企業名を公表する場合もある。雇用者が報告を怠る、あるいは虚偽の報告をした場合は、20万円(1890ドル)以下の罰金が科されることもある。

 都道府県の労働局雇用均等室の政府ホットラインは、セクハラに関する相談に対処し、可能な場合は紛争を調停した。法律により、従業員200人以上の企業が障害者を一定の比率以上雇用する義務に従わなかった場合には、法定雇用数に足りない障害者1人当たり毎月5万円(472ドル)の罰金を支払わなければならない。

 女性は依然として、職場での不平等な待遇について懸念を表明した。女性の平均月給は、男性の約70%にとどまった。職場におけるセクハラはまだ広範囲に見られた。2014年6月、日本労働組合総連合会は、女性従業員の約49%が職場でのセクハラまたはパワーハラスメントを経験しており、そのうち31%の女性が苦情の申し出や相談を行っていないという調査結果を発表した。

 雇用者が妊娠した女性に辞職を強要する事案が引き続きみられた。9月4日、厚生労働省は、妊娠を理由に女性従業員を不当に解雇し、同省の是正勧告を繰り返し拒否した雇用者の名前を公表した。同省は、本件がこの法律に基づき雇用者の名前を公表する初めての事案であると述べた。別の事案で、広島高等裁判所は11月7日、広島市の病院に対し、妊娠を理由に軽い業務への配置転換を希望した後に降格された理学療法士に175万円(1万6500ドル)の賠償金を支払うよう命じた。

 政府は保育施設および出産・育児休暇を充実させるとともに、有価証券報告書での女性の登用状況の開示を民間企業に促した。8月28日、国会は、国および地方公共団体、ならびに301人以上の従業員を雇用する民間企業に、それぞれの組織における女性の雇用状況の分析と、女性の参画と活躍を推進する行動計画の提出を義務付ける法律を成立させた。

 厚生労働省の統計によると、データの入手が可能な最後の年である2014年における公共部門の障害者雇用率はおよそ2.2~2.3%だったが、民間部門の障害者雇用率は約1.8%と、法律で義務付けられた最低限の比率に至らなかった。障害者の権利擁護団体は、障害者を雇用するより罰金の支払いを選択する企業もあると主張した。

e. 許容される労働条件

 改定された最低賃金は、時給693円(6.53ドル)から907円(8.55ドル)まで幅があり(都道府県別に定められている)、2014年比で平均18円(0.17ドル)上昇した。貧困線は、年間所得122万円(約1万1500ドル)だった。

 法律により、ほとんどの産業で労働時間は週40時間と規定されており、一定の期間に認められる時間外労働の時間数は制限され、かつ過度の強制的な時間外労働を禁止している。1日8時間を超えて働いた場合、1カ月45時間を超えない範囲の時間外労働には、賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられている。1カ月45時間から60時間までの時間外労働については、労使間で時間外労働の条件に関する特別協定を締結することが義務付けらており、法律は企業に25%以上の割増賃金を支払う努力をすることを義務付けている。1カ月に60時間を超える時間外労働については、少なくとも50%の割増賃金を支払うことを義務付けている。法律はまた、国民の祝日を有給の休日とするほか、6カ月間継続して勤務した正規労働者に対し、年間少なくとも10日の年次有給休暇を支給することを義務付けている。労使で合意すれば、10日の年次有給休暇のうち5日を限度として、時間単位で取得することができる。日本政府が労働安全・衛生基準を定める。

 厚生労働省が、ほとんどの業種の賃金、労働時間および安全・衛生に関する法律・規則の執行について責任を負う。国家公務員の労働安全・衛生については人事院が所掌する。鉱業については経済産業省が、海運業については国土交通省が労働安全・衛生をそれぞれ所掌する。

 法律は、最低賃金を支払わなかった雇用者に対し、対象となる従業員の数や違反の期間に関係なく50万円(約4720ドル)以下の罰金を科している。当局は労働者が不服を申し立てた場合にこの罰金を科す。

 300以上の労働基準監督署に雇用された約4000人の労働基準監督官が、これらの法律・規則を執行した。労働組合は、依然として、政府が労働時間制限の執行を怠っていると批判し、政府職員を含め労働者が日常的に、法律で定められた労働時間を超えて働いていたことが広く認められていた。

 日本政府は全般的に、全ての産業において、労働安全・衛生に関する法律・規則を効果的に執行した。労働安全・衛生基準違反に対する罰則には罰金と懲役がある。労働基準監督官は、重大な違反の場合には、安全でない操業を直ちに停止させる権限を有するが、重大でない場合は、拘束力のない指導を与える。しかし、厚生労働省の職員はしばしば、430万カ所以上の事業所を監督するには資源が不十分であると述べた。労働災害による死亡の原因として最も多かったのは、墜落・転落、道路交通事故および重機によるけがであった。

 厚生労働省は引き続き、過労死の認定を求める遺族からの申請を受けた。政府のデータが入手可能な最後の年である2014年に報告された2万5427件の自殺の中で、仕事に関連する問題を動機とする自殺が4番目に多かった。

 非常勤および短期契約労働者は、2014年の労働力人口の約37%を占めた。これらの労働者は正規労働者より低い賃金で働き、多くの場合、雇用の安定性や福利厚生が劣っていた。一部の非正規労働者には、保険、年金および研修を含むさまざまな福利厚生を受ける資格が与えられていた。この分野の専門家は、4年または5年未満の契約、または5年に至る直前の契約終了が増加していると報告した。これは、労働者が無期労働契約への転換を雇用者に申し込むことが可能になる通算5年を超える契約期間にならないようにする措置である。研究者、技術者、大学の教員など大学や研究開発法人に勤務する労働者について、無期労働契約に転換するまでの期間が10年に延長された。

 危険な装置や不十分な研修に起因するけが、賃金や残業手当の未払い、過度の、時として誤った賃金控除、強制送還、および標準以下の生活環境など、TITPにおける悪用事例の報告がよくみられた。さらに、この分野の専門家は、TITPの労働条件を監督する監督官および審査官は、TITPを共管する省のうちの2省が雇用していることから、利益相反も存在したと指摘した。監督官や審査官の中には、事業主が支持する政府のプログラムに対して否定的なイメージを与えかねない調査を行うことに難色を示す者もいた。

 複数の技能実習生が、無償または有償の弁護士の支援を得て、過去の事案についてTITPに参加する企業を提訴した。裁判所はこのような事案のうち数件について技能実習生を支持する判決を下したが、多くの場合、技能実習生は未払いの賃金を受け取ることができず、事業者が破産を宣告したため保障を受け取ることができなかった事案も数件あった。2015年に係属中の事案には、賃金または残業手当の未払いを申し立てたものがあった。